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想いは薔薇に秘めて [ケイト・ヒューイット]

SHALOCKMEMO1100
想いは薔薇に秘めて Virgin's Sweet Rebellion
ホテル・チャッツフィールド 12) 2015」
ケイト・ヒューイット 中村美穂





 ロミオとジュリエットに擬えたチャッツフィールドとハリントン,宿敵両家のヒーロー=ヒロイン物語ですが,ベンジャミン(ベン)とオリビアの二人はどちらも兄弟姉妹の下の方,ベンは異母兄スペンサーに,オリビアは母にそれぞれ期待に応えられなかったティーンエイジャーのころの罪悪感を持ち続けてきました。ベン32歳,オリビア26歳。互いの心の傷を打ち明けられる存在になったとき,そして自分自身を許し,未来に向かって進もうとしたとき,いや互いの愛を告白し,そのことによって過去を乗り越えようとしたとき,二人の真のハッピーエンドが訪れる,そんなストーリー展開の作品です。
 多くの作家によってテーマにされ,書き続けられてきたこのチャッツフィールド・シリーズのテーマは,「家族」。何度もばらばらになりながら,チャッツフィールドという名前とホテルという舞台で世界中で繰り広げられる家族の物語といっていいでしょう。今回の舞台になるのは,ロマンス小説では珍しくドイツです。ベルリン映画祭が開かれる冬のベルリン。そのメイン会場になるのがベルリン・チャッツフィールド。ハリントンホテルの買収を使命と考えているスペンサーの頼みで2週間だけこの映画祭開催中のホテルの面倒を見て欲しいと頼まれたベンは,家業に就かずに自分のシェフとしての腕を生かしてニースでビストロを経営しています。そして映画祭に参加しているオリビアは,大作のヒロイン役を得ようと躍起になっている女優。助演した映画の公開に来ています。しかし,手違いによりオリビアは掃除用具部屋を割り当てられてしまいました。クレームを付けた相手がホテルの責任者であるベンです。それが二人の出会いでしたが,互いに電流が走るほどの感情を抱きます。しかし二人の関係がマスコミに報道されしまうと,世間はイケメンシェフと名もない女優という評価とチャッツフィールド家とハリントン家という家同士の関係とをおもしろおかしくかき立て,さらに慣れないマスコミ取材の場でベンが取った行動が,二人の破局とさらにマスコミを賑わすことになり,ベンを追いかける秘書レベッカのリークによってオリビアへの中傷が続き,結局オリビアは大役を逃すことになってしまいます。しかしこの時,オリビアはベンを,ベンはオリビアを愛していることに気付いていたのでした。いくつかの高いハードルを乗り越え,二人は永遠の愛を誓い合えるのでしょうか。結論が描かれない本作は,余韻を残した終わり方になっています。
 SHALOCKMEMO1100となる本作。11月の月末は時間が取れなくて,ついに12月に入ってしまいましたが,7月末からほぼ4カ月で100冊,月平均25冊程度を読んだことになります。未読作が目白押しで年末まであとひと月,愉しみながら読んでいきたいと思います。


タグ:ロマンス
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