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秘書に哀れみのキスを [キャシー・ウィリアムズ]

SHALOCKMEMO1099
秘書に哀れみのキスを AScandalousEngagement 2000」
キャシー・ウィリアムズ 漆原 麗





 本国版のイメージと邦訳版のイメージが全く違います。ヒロインの髪の色も。これはちょっと珍しいですね。出版年の違いもあるのかもしれません。そして本国版のイメージの方がいいですね。特にヒロインが右手の人差し指をちょっと立てた姿。この図は何か有名な絵画で見たことがあるような・・・。
 さて,本作はいわゆる秘書ボスものです。しかし普通の秘書ボスものと決定的に異なるところは,秘書の面接をボスの母親がしてヒロインが採用されたという点ですね。ヒロインのテッサ(テス)・ウィルソンは,10代のころからずっと妹ルース(ルーシー)の面倒を見てきた真面目で物事をきちんと果たすタイプ。一方妹ルーシーの方は際立つ美貌を持ち,明るく活発で,男性がすぐに目をとめるタイプ。そんな妹をいつもうらやんでいるテスですが,ティーンエイジャーであるルーシーの年代にふさわしい行動をある程度認めつつも,しっかりした女性に育てようとしてきました。そして自分が生活や妹の学費のために懸命に働くことで満足してきており,ルーシーを恨んだりしたことは一瞬もありませんでした。そんなテスが就職したIT関連会社「ディアス・ヒスコック」のボス,カーティス・ディアスは経営者としては型破りな普段着的な服装で仕事をし,社員たちにも自由や発想や議論をするよう仕向けてきました。テスのように計画どおり仕事を進めようとする秘書は,この会社の社風には合わない,と一度は就職を断るのでしたが,テスの必死の頼みを聞き入れて3カ月の試用期間を設けることで手を打ったのでした。そして仕事を始めて見て,テスが有能であり,単なる表の顔の秘書ではなく,秘書以上に業務のことをよく知り,意見を持っていることに驚きを持つのでした。カーティスには亡き妻が残した一粒種アンナがいるのですが,10代の娘に対して過保護すぎるほど地味な服を着せ,自分の言うことを聞くことを当然と思っているのでした。妹を養育してきたテスならば,自分が1週間海外出張する間,アンナの面倒も見て欲しいと申し出ます。会社でテスの横でファイリングの仕事を懸命にするアンナを見て,残り一日というときに,テスは昼食を共に取ろうと外に出かけ,ふと思いついてあんなに年齢にふさわしい服を買おうと持ちかけます。長い昼休みを取って社に戻るとカーティスがすでに帰社しており,買った服を父親に見てもらおうと次々に報告するアンナに渋い顔を隠そうともしないカーティスでした。テスはそんな父親の顔のカーティスに何か一言言ってやらなければという思いを抱きます。結局その服は着られないままにクローゼットにしまい込まれることになるのですが,アンナはテスに親しみを感じているらしいのです。
 男性的魅力と仕事に対する情熱,「社員はファミリーも同然だ」という経営理論を持つカーティスに次第に惹かれ始めるテス。パーティを抜け出して帰宅しようとしたテスが道路で足首をくじいてしまったとき,カーティスは無理やりタクシーに乗せ,家まで送り届け,手当てをし,シャワーを浴びさせ,ベッドまで運んでいくというように面倒を見ていきます。そしてテスはカーティスの首に手を回して・・・。二人の深い関係はこの一夜だけでしたが,そこに妹のルーシーが帰宅してきます。玄関でカーティスとルーシーが話している声が聞こえ,「テスにはこのことを話さない方が・・・」という言葉に,テスは衝撃を受けます。やはり見栄えばかりの秘書を雇いたがるカーティスの本性は,自分よりも美貌に優れたルーシーの方に向くはず・・・。週が明けて,テスは辞表をもって社に向かいます。完全に誤解だったことが明らかになるのは数日後でした。カーティスはルーシーのデザイナーとしての才能を生かし,海外進出をしようとしている会社の新しいロゴをデザインしてみてはと持ちかけ,そのことはしっかり決まるまでテスには黙っているようにと言っただけだったのでした。しかし,誤解が解けてみてもテスは頑固に辞職を撤回しようとはしませんでした。数日休暇を取ろうと,ダブリンの小さなホテルで食事をしていたテスの前に意外な人が現れて・・・。
 ルーシー,アンナと大人になろうとしているティーンエイジャーの気持ちをしっかりと書き込んでいるこの作品はとてもすがすがしく,ヒロインだけでなく女子の気持ちの動きをその行動で描ききった成長譚でもあるようです。


タグ:ロマンス
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あの夜は秘密 [サラ・クレイヴン]

SHALOCKMEMO1098
あの夜は秘密 A Nanny for Christmas
Nanny Wanted ! 5) 1997」
サラ・クレイヴン 漆原 麗





初出はR-1433(98.11/¥672/156p)。司書資格を持ち読書好きで高校生の時でも初心だったフィービ・グラント。親友だと思っていたティファニーに騙され,パーティガールの格好をさせられ,アルコール入りパンチを飲まされて朦朧として屋敷の主のベッドで寝てしまいます。ドミニク・アシュトンがその姿を見て,自分の妻と義弟の不名誉な姿と「プレゼントの替わり」というメッセージがあったためすっかり勘違いし,家から追い出してしまうのでした。その一夜のことは,フィービはずっと秘密にしていたのです。臨時雇いのウエイトレスをしているカフェに毎日一人でやってくる小さな女の子が気に掛かり始めたフィービはいつも来るナニーが迎えに来ないことから少女を家まで送り届け,親に一言言ってやろうと考えたのですが,その子が向かったのは忘れもしない秘密にしていたパーティが開かれた屋敷でした。やがて少女がドミニクの娘(少女は母親の苗字を名告っていたのです)であることを知りますが,ドミニクはフィービに気付いた様子はありませんでした。少女のナニーがあまりその役割を果たしていないことと事故で怪我をしたことから,そして臨時雇いしていた店に正規職員が戻ってきたこと,さらに住んでいたアパートが火災で取り壊されることになってしまったこと,と不幸が続き,それを知ったドミニクは娘タラのナニーとしてフィービを雇おうとするのでした。タラがかわいそうだと思いつつも,ドミニクの家で暮らすことは極力避けたいことでしたし,新年までの数ヶ月という条件付きの話しに,何度もナニーを変えるのはタラのためにならないと理由を挙げては見たものの,住む場所も仕事もなくしてしまったフィービは不承不承ながらその提案を受け入れざるを得なくなります。しかもタラはすっかりフィービに懐いてしまうのでした。いつ秘密がバレてドミニクがあの夜のことを思い出すか戦々恐々としながらも,当時とは全く異なり娘のことを真剣に取り組もうとしているドミニクに次第に惹かれ始めるフィービ。そしてドミニクもまた初めてフィービを見たときから惹かれ始めていたのでした。二人の関係を邪魔する人たちとしてあの夜の企てをした張本人でドミニクの義弟のトニーやドミニクの隣人で離婚したドミニクを狙っているヘーゼル・シンクレア,そして極めつけは別れた妻のサリーナ・ベインが屋敷にやってくるに及んでは,二人の関係はすっかり冷え切ってしまったかのように思われますが,作者は見事な解決策を示してハッピーエンドを引き出します。クリスマスを巡る騒動も細かに描かれ,ちょっとおしゃれな作品に仕上がっています。


タグ:ロマンス
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海運王への実らぬ想い [マリーン・ラブレース]

SHALOCKMEMO1097
海運王への実らぬ想い The Texans's Royal M.D.
Duchess Diaries 4) 2015」
マリーン・ラブレース 中野 恵





 シリーズ第4弾です。とりあえずのシリーズ最終巻ということになるのでしょうか?近年作者の作品は少し数が減っているようですし,今のところ年明け2月に出版が予定されているのは["I Do"... Take Two !]という3部作の第1巻のようです。
 さて,本作ですが,ヒロインは大公の妹アナスタジア(ジア)。休暇を取って南部テキサスで家族とともに滞在しているときに海辺でおぼれかけているひとりの少年を助けます。その叔父がヒーローのマイク・ブレナンでした。数日のうちに意気投合し深い関係になる二人。ジアは家族にも話していない自身の秘密を何故かマイクには打ち明けてしまうのです。それほど会った瞬間からマイクを信頼したとも言えますし,ニューヨークに戻ってしまえばもう会うこともなくなるだろうという気持ちもあったのかもしれません。しかし何度か会ううちにさらに会いたくなってしまう二人でした。何がそんなに二人を結びつけたのか。そしてそんな二人をじっと見つめるのは,例によって大公妃シャーロットです。すでにジアの近親には兄である大公始め,社会的に重要な地位にいる人々,つまり権力と財力を兼ね備えた上流階級の人々がいます。しかもジア自身がアナシタジア・アマリア・ユリアナ・セント・セバスチャンというフルネームを持つプリンセスでもあります。ジアは小児科の研修医の最終年度として病院勤務をしていますが同時に病院付属の研究所での研究もしています。自分が現場の小児科医として進むかあるいは研究所勤めをするかを決めかねていたのですが,マイクは自身がCEOを務める海運会社の補助金をジアの研究に役立てることができるかもしれないと持ちかけ,ニューヨークに戻ったジアは研究助成金を得るための準備に取りかかります。テキサスとニューヨークに別々に暮らす二人が果たしてどんな将来を送ることができるようになるのでしょうか。エピローグを見る限りとてもうまくこの問題を解決したように思えますが・・・。普段は研修医として白衣姿しかしていないジアですが,パーティではさすがにプリンセスとしての格好をし,さらに気品あふれる態度,そしてマイクとのプライベートでは奔放な医者らしい態度をとります。男性からすれば自立し,美しく,賢く,自分への愛を率直に表現できる女性はまさに理想の女性でしょう。どうしたって相手を守りたくなるのは自然な成り行きなのですが,そのことがジアの心の琴線に触れてしまうとは,いかにも作者らしいストーリー展開の妙だと思います。補助金獲得のための活動を援助するはずのアドバイザーが犯罪に手を染めてしまうというサイドストーリーを交えて,物語は進行しますが,本作の最大の山場はなんと言ってもマイクとジアの結婚式に60数年ぶりに故国の山に立つシャーロット大公妃の姿です。切なさともの悲しさそして壮大な歴史を生き抜いた大公妃の姿が目に浮かび,思わず涙ぐむほどの場面です。「サウンド・オブ・ミュージック」の最後の場面が思い浮かびます。あの場面は事実とは異なる映画ならではの場面だそうですが,それでも本作のイメージにぴったりの風景ではないかと思います。一気読み間違いなしの傑作です。


タグ:ディザイア
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うたかたのシンデレラ [スーザン・メイアー]

SHALOCKMEMO1096
うたかたのシンデレラ The Twelve Dates of Christmas 2014」
スーザン・メイアー 北園えりか





 いつもほんのりした幸福感を与えてくれるスーザン・メイアーの作品です。クリスマスを舞台とするとなおさらです。原題は「クリスマスの12回のデート」。
 さて,本作はルームシェアしていた3人の女性エロイーズ・ヴォーン,ローラ・ベス・マシューズ,オリヴィア・エングルのうち,エロイーズがヒロインとなります。オリヴィアはすでにタッカーと結婚し,ローラ・ベスもまた恋人がいるのですが,エロイーズは孤独でした。エロイーズは大学3年の時ウェインと出会い,駆け落ちしたものの裕福な両親から勘当され,ウエイトレスで仕事のないウェインを支えていましたが,夫を膵臓癌で失い,その後も両親の勘当が解けずにニューヨークで弁護士事務所の臨時雇いをしながら何とか生活している状態でした。一方のヒーローであるリッキー・ラングレーは,息子ブレイクとその母親を車の事故で失い,息子を救えなかった罪悪感から女性との真剣な付き合いを拒み,パーティへの出席を極力忌避し続けていたのでした。11月の末から始まる友人や会社関係のクリスマスパーティは都合12回予定されており,そのどれにも参加するのがつらい季節が始まろうとしていました。そんなリッキーとエロイーズはオリヴィア,タッカー夫妻のパーティで出会います。友人たちが以前の生活に戻るために積極的にリッキーをパーティに誘い,断り切れずに参加した夫妻のパーティでした。共通の友人を持つ二人が出会うのは必然だったのですが,これからのパーティシーズンを思うとリッキーはやりきれない思いでいます。そこでリッキーは経済的に困っているエロイーズに就職先を見つけるための人を紹介するため12回のパーティに自分と恋人として同伴しないかという便宜的交際を持ちかけます。フラットの戸口まで送ってくれたリッキーをあらためて見てそのハンサムな顔,整った目鼻立ち,美しい茶色の瞳,そんな彼に惹かれている自分にエロイーズは気付きます。「経験したから分かる。人を幸せにするのは愛よりも仕事だ。」と自分に言い聞かせるエロイーズ。その後,次々にパーティに同行した二人ですが,エロイーズの方は自分の過去の心の傷を,両親から勘当されて孤独であることを,そのつど少しずつ問われるままにリッキーに話し始めるのですが,リッキーの方はいっこうに自分のことを語ろうとはしませんでした。自分の罪悪感に気付いている様子なのに何も問わないエロイーズにリッキーは安心感を抱き,次々にパーティにふさわしい服装と魅力を振りまくエロイーズが自分にとって大きな存在になっていくことに戸惑います。「彼女を好きになり始めている。だが,それは間違いだ。」「これは単なる取り引きだ」と自分に言い聞かせるリッキー。しかし何度かパーティへの参加をするうちにリッキーは「エロイーズにふさわしい人間になりたい,エロイーズが求める人間に」と心を開こうとするのでした。やがて,エロイーズがファッションに抜群のセンスを持ち,デザイナーとしての才能にあふれていることにプロのデザイナーが注目し出します。そのことを知ったリッキーは,あるパーティで自分たちの席にデザイナーを同席させることを主宰者に依頼し・・・。そして遂に最後のパーティがやってきます。リッキーの会社のクリスマスパーティで,社員たちにプレゼントとボーナスを用意し,エロイーズにも参加を依頼します。担当者からサンタクロースの衣装を着るように持ちかけられたリッキーは断ろうとしますがエロイーズの「いいんじゃない」という言葉に従って思い切って扮装すると,それが社員に大受けでした。自分に笑顔を取り戻させ,周囲の人たちも幸せな気分にさせてくれるエロイーズの優しさと気配りにリッキーは改めてエロイーズを愛していることに気付くのでした。クリスマスで実家に帰ったリッキーは両親からエロイーズを愛していることを指摘され・・・。
息子ブレイクの母親とは結婚しなかったリッキーですが,「その日その日を生きているだけさ。仕事に没頭してね。僕にはそれしかない。それ以外には値しない人間だ。」となお自分を哀れんでいるリッキーをエロイーズは前向きに自分と向き合うように説得できるのでしょうか。一人寂しくクリスマスを過ごしているエロイーズを想い,リッキーが計画してエロイーズのフラットを訪れる場面がクライマックスですが,ここを読んでいるときちょうど「You Raise Me Up」がかかっていました。ストーリーと曲がビッタリと合い,涙が頬を伝ってきました。それは悲しさからではなく,心が動いたせいだと思います。勘当の,いや感動の作品です。


タグ:イマージュ
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冷酷なフィアンセ [ダイアナ・ハミルトン]

SHALOCKMEMO1095
冷酷なフィアンセ Virgin : Wedded at the Italian's Convenience
Innocent Mistress, Virgin Bride 7) 2008」
ダイアナ・ハミルトン 白槻小枝





エンディングがとても小気味がいい作品です。150センチほどの小柄でほっそりした女性リリー・フロームは母を亡くし父からも捨てられ,元教師の大叔母のエディスに引き取られ,慈善団体を運営しています。村のお年寄りや困った人を助けるためにボランティアの人たちに手伝ってもらいながら何とか生活してきました。最近になって村の大きな屋敷が売りに出されたという情報を得て,バザーのために家具などを引き取りたいと申し出るために屋敷を訪れると,先日弁護士事務所から出てきた大柄でハンサムな男性が新しい持ち主パオロ・ベニーニであることが分かります。尊大で自分を物乞いのように扱う態度に腹を立て,リリーは用件だけを済ませて帰ってきたのでした。ところが知り合った秘書のペニーと話しているところにパオロがやってきて,慈善団体を支援する代わりにやって欲しいことがあると申し出たのです。それはなんと,病気のパオロの母を励ますためにリリーと便宜的な婚約をしたという申し出だったのです。普通の女性として豊かな暮らしではなくとも正しく生きてきたリリーからしてみれば,いくらなんでも結婚,婚約という人生の重大事を嘘でスタートさせることなど考えも及ばないことでした。しかし2週間パオロとイタリアで過ごすだけで,5000ポンドという大金をポンと寄越すほどの富豪であり,これがあれば団体運営も軌道に乗るだろうという見通しと,大叔母のエディスももう若くないことを考えると楽をさせてあげたいという気持ちにどうしても勝てずにこの申し出を受けることにします。というより,次々とリリーの行動を予測して先々と手を打つパオロの手腕に振り回され,引きずられるように従ったと行ってほうがいい状況でした。しかもそれがそんなに嫌じゃなく,パオロにどうしようもなく惹かれていく自分自身にリリーは怖れを抱いたのです。モデル体型のブロンド美女と浮き名を流しても不思議でない人もうらやむ美貌と財力をもつパオロのような人が自分のような見栄えのしない女性を好きになるはずがなく,しかも今回の申し出はあくまで便宜的なものであることをはっきりと宣言されていたからです。これまでの人生でパオロはすでに1度の婚約失敗と1度の離婚を経験しており,愛のある結婚ということを期待してはいないからでした。パオロの母にはとても大切にされ,話がどんどん進んでしまいます。婚約披露パーティにまで発展し,戸惑うリリー。しかもパオロの目に自分を求める気持ちが表れ,ついには自分もパオロを愛していることに気付くリリーでした。しかし本物の愛のある結婚は望めないという現実との狭間で気持ちが揺れ動くリリー。そのうち結婚の準備まで始まってしまい,慈善団体はパオロの準備したプロの経営者が引き継いで運営をしてから好調な様子。さらにパオロを求めたい気持ちも強まっていくリリー。ついに結婚式まで挙げて本物の結婚にしたとパオロに告白されてしまってはもう逃げ道はありません。ところが披露パーティに集まったベニーニ家の人々は,結構自堕落であまりいい印象は受けません。特にパオロの従妹のレナータに前妻と自分を比べられて,結婚生活がいつまで続くかと嫌みを言われて動揺するリリーでした。ベッドを共にしたくないとパオロに宣言したリリーですが,次第に元気をなくして悩む生活に陥ってしまいます。できるだけ顔を合わせないように過ごす仮面夫婦になってしまった二人に決定的な出来事が・・・。シンプルな筋立てだけにとても小気味がよく,すっきりした読後感が味わえる,2009年に亡くなったダイアナ・ハミルトン晩年の作品です。


タグ:ロマンス
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霧氷 [ベティ・ニールズ]

SHALOCKMEMO1094
霧氷 The Silver Thaw
(ベティ・ニールズ選集 5) 1980」
ベティ・ニールズ 大沢 晶





 1カ月ぶりのベティ・ニールズです。選集第5作目になりました。「氷雨降るハーグ」で選集の魅力に嵌まってしまって,どの巻も作者の質の高い,しかもちょっぴりテンポ感の緩やかな古風な考え方のヒロインたちと魅力的なヒーローたちの造型に感心しながら読み進めています。紙本ではみんな持っているのですが,電子書籍でないとなかなか読めなくなっているので,今回も配信を待ってから読みました。
 さて本作のヒロインは「聖アンセル病院」の手術室付き看護師長アミリアです。裕福な家庭で育ち優秀な成績で看護師の道を目指し27歳にして看護師長を勤めるアミリア。外科医のトムと婚約中ですが,トムの方は丁度今キャリアを築いていきたい年頃,家庭に早く入りたいと願うアミリアとはどうしても考えがすれ違っていきます。アミリアの父は無類の釣り好きでアミリアに休暇を取らせ,ノルウェーでの3週間の釣り旅行にアミリアとトムを誘います。トムは1週間ならなんとか休暇を取れることになり,3人でノルウェーに飛びます。なかなか煮え切らないトムの態度。二人の将来のことについては結局結論が出ないままトムはロンドンに帰ってしまいます。数日遅れてギデオン・ファンデルトルクというオランダ人と父が親しげに話をしているのに気付きます。長身でハンサム,ドクターだということです。ギデオンの誘いで絶好の猟場に出かけたり,さらに遠出して泊を伴って名高い猟場に出かけたりとギデオンに振り回される日々が続きます。さらにお土産の買い物にと,1日送り迎えをしてくれるギデオン。時々無神経なことを言って自分を怒らせるギデオンに,反発を感じたのは最初だけでした。やがてトムとは異なる想いをギデオンに感じ始めたアミリアは,それが恋だと気付くのに新年が明けるまでの数ヶ月を要したのでした。ノルウェーの帰りにオランダのギデオンの屋敷で1泊したり,充実した休暇を過ごしたクロスビー親子ですが,ロンドンに帰るやいなや再び忙しい日々がはじまり,トムから意外なことを言われてしまいます。5年契約でオーストラリアのパースでの仕事の誘いがあり,キャリアを高めるために行きたいというのです。条件は独身であること。つまり自分は5年間待って32歳にならなければトムとの結婚はできないことになります。何とかその仕事を断って欲しいと頼むアミリアですが,トムの方はすっかりその気になってしまっています。結局トムとは別れることにするアミリアはクリスマスの期間中も勤務をするローテーションになり,休暇はクリスマス後にもらうことになります。実家に戻ったアミリアにパーティへの招待がいくつかあり,出かけてみるとギデオンも顔を見せているではありませんか。さらに実家にもギデオンは父の招待を受けてやってきたり,なにかとアミリアの前に現れてくるのです。そして年末にオランダのギデオンの家に招かれ新年を一緒に過ごすことを父や伯母たちからすすめられ,断り切れなくなったアミリア。すでにこの時ギデオンは密かにアミリアとの結婚を心に決め,着々とその準備を進めていたようです。35歳のギデオンですがファンデルトルク家は代々晩婚だったらしく,妹たちはすでに嫁いでいますが長男の彼と弟で医学生のレーニエルだけが独身でいたのです。ファンデルトルク家での大勢が集まった年末の大騒ぎで多くの人に紹介され,ギデオンの母や妹たちに温かく迎えられたアミリアは,ギデオンが結婚するらしいという噂を聞いただけでした。落胆のうちにロンドンに帰ったアミリアは周囲に当たり散らし,いつも毅然として仕事をしながらも気遣いの人と思われていたにもかかわらず,何か変わったと周囲の人々が驚くほどでした。そして,スリップしたトラックが満員の大型バスに衝突した事故が起きて,病院は緊張の空気に包まれます。手術の準備をしていたアミリアは,その時,麻酔医の声を聞いて思わず器具を取り落としてしまいます。自分の病院に麻酔医の口からギデオンの声がしたからです。マスクに覆われて顔が見えないにもかかわらず,それがギデオンであることは背格好からわかりました。どうして彼が・・・。ここから終結に向けてストーリーはぐっとテンポが速まります。
 もはや自分を抑えることができなくなるアミリアの心の動きを作者は見事に文章で表していきます。あいかわらずのイチオシの作品です。タイトルはオランダの厳寒の冬に現れる霧氷を表しています。これもまたしゃれたタイトルですね。


タグ:ロマンス
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ボスとの偽りの蜜月 [ジュールズ・ベネット]

SHALOCKMEMO1093
ボスとの偽りの蜜月 For Business... or Marriage? 2010」
ジュールズ・ベネット 泉 智子





 オハイオ州に住む作家ジュールズ・ベネットの初邦訳作品です。2007年の[Home Again],2008年の[Love in Bloom]と年1作を出した後に2010年以降爆発的に作品を出しているディザイア作家のようです。その他スペシャル・エディション(N-)で「ストーナーロックのセントジョン」3部作や最近作の[Mafia Moguls]シリーズなど2010年以降,矢継ぎ早に作品をものして人気作家の仲間入りしているようで,本作を読み終えたばかりでもその質の高さと,明確な主張が気に入りました。本作には姉妹編[Seducing the Enemy's Daughter]があり,邦訳が待たれます。ディザイア本国版の表紙イメージは,姉妹編と共に「Best Image」です。
 さて,本作はいわゆるボス秘書ものですが,ヒロイン側から積極的攻めの姿勢でボスの心を射止めていくというストーリー展開なのが特徴です。元ウエディングコーディネーターのアビー・モリソンは先代社長に雇われて「ストーン・エンタープライズ」の社長アシスタントとして働いて1年になります。勤務する少し前に最愛の母を癌で亡くしたばかりでしたが,勤務してすぐに今度は社長も亡くなってしまい,その後は後継者であるケイド・ストーン,ブレイディ・ストーンの兄弟共同経営者の元で仕事を続けているのでした。母の闘病期間中,治療費と入院費が嵩み,借財がまだ残っています。そんな時,ケイドから元ウエディングコーディネーターだった経験を生かして,自分と婚約者モナ・トレメインの結婚式のプランを立てて欲しいという依頼があります。通常の給与とは別に高額のボーナスを払うからという条件でした。この金額があれば借金を払い終わって,さらに今よりも高級なフラットに移れるだけの金額だし,元々好きな仕事だということで引き受ける気になったアビーですが,同時に密かに憧れの気持ちを抱き続けてきたケイドの結婚,しかもすこぶる付きの美人である上に父親の企業の副社長として仕事もばりばりな女性モナ・トレメインとの便宜的結婚ということで心を痛めてもいたのでした。しかも,結婚する当人であるケイドもモナも,計画はすべてアビーに任せるというのです。自分でなくても少なくともケイドには愛する人と結婚をして欲しいと,アビーは一計を案じます。ハネムーン地の選定とそこでのスペシャルを選定するために仕事がらみの旅行をケイドに認めさせました。これまで目立たずひたすら仕事一筋でこちらの言いつけにはいつも素直に従う優秀な秘書的存在だったアビーが,急にこんな計画をたて,自分がそれに乗っかってしまっていることに違和感を覚えたケイドですが,ちょっと前にアビーがロデオマシンにまたがってセクシーな動きを見せていたところを偶然見つけ,それが頭から離れなかったので,プライベートのアビーを知りたいという興味が沸いてきたからでした。それから二人は自家用ジェットでカリブ海の島々をいくつか巡り,売りに出されたリゾートの実態調査を兼ね,ハネムーン地を巡ることになります。
 行く先々でアビーの生き生きとした姿や何事にも率直で飾らない性格,そして身を粉にして働く姿,さらに数カ国語,それもジャマイカの原語まで操る有能さに舌を巻き,なによりこれまで感じたことのなかったアビーの美しさに気付き始めたケイドは,もうアビーの魅力から離れることができなくなってしまいます。なんとか愛のある結婚を,愛することを知って欲しいというアビーの願いは,いつしかモナではなく自分がその相手にふさわしいと考えるようになっていきます。二人が決定的な関係になる前に,企業合併と便宜的結婚を分けて考えられないだろうかとケイドはモナに連絡を取ろうとしますが,連絡が取れないうちに現地視察が終わってしまいます。そして視察の報告を兼ねてケイドと兄夫婦のもとを訪れたアビーは,ケイドの兄ブレイディと妻サムの姿をみて真実うらやましさを感じます。ところがケイドとブレイディが話している事務室を訪れようとしたとき,中から聞こえてきたのはモナからウエディングドレスが会社に送られてきたという会話でした。「モナとの結婚」を断ったのではないと知ったアビーは,二人の元に駆け込み,即刻辞職しますという言葉とともに,国に帰ってしまうのでした。
 ケイドとアビーの関係の深まりと心の動きを慎重に積み重ねてきて,ここで一気に意表を突く作者の手法は見事です。さらに二人の仲直りをあのロデオマシンの場面を使って大団円にもっていくなどなど,手の込んだストーリー展開は,思わず読者をニヤリとさせていく小気味よさを感じさせる,イチオシ作品です。


タグ:ディザイア
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結婚はビジネス? [ジェシカ・スティール]

SHALOCKMEMO1092
結婚はビジネス? The Marriage Business
Today's Woman 1) 1995」
ジェシカ・スティール 原 淳子





働く現代女性の様々を描いたシリーズの第1作でジェシカ・スティールが担当です。義兄たちが共同経営する会社の財務担当部長の仕事を任されているアヴィーナ・アラダイス(愛称アビー)は美人一家の末っ子。母や姉がお金を使うことしか頭にないのに対してアビーはお金を運用する方に興味と適性を持っています。男とお金に,そしてその両方を持つ男性には特に気をつける。それがアビーの信条だといっても過言ではないでしょう。愛のない結婚はしないということです。そんなアビーを見初めた男性が大企業のトップでハンサムな男性ナイル・ランカスターでした。ナイルはあるパーティでアビーを見たとたん惹かれ始めます。しかしアビーの会社がランカスター・グループとの契約を熱望している時,ナイルと付き合うことは自分が会社の犠牲になって愛のない関係をナイルと築くことになってしまう,その狭間と,母や姉たち,そして義兄たちはアビーがナイルに媚びて,うまくしたらナイルと付き合うことが会社にとって有利になると,懸命に立ち回るのをどうにも防げなくなってしまいます。本当はナイルに惹かれる思いを持っていても,それ以上に会社の犠牲になってしまう気持ちの方が強く感じられるのでした。ナイルとは仕事関係のパーティなどで何度か顔を合わせざるを得ません。そしてアビーの会社にちょっと顔を出したりもしてアビーを困惑させてきます。週末の金曜日になるとアビーに連絡を付けてくるようになります。その割には月曜から金曜までは難の音沙汰もありません。まさにツンデレの態度なのです。週末の過ごし方にアビーはワザと洗練されたコンサートより村の集会所で開かれる素人コンサートに誘ったり,レンストランでの食事より自宅のキッチンでの手料理など,ナイルに嫌がらせとも言うべき過ごし方に付き合わせるのですが,その度に母や姉たちから叱責を受けるのでした。唯一自分の理解者である祖母の家に泊まってナイルを遠ざけたりもしてみるのですが,その祖母の家にナイルが現れたりと,結構ナイルも一筋縄ではいきません。二人の関係が純粋に愛に基づいた関係に発展する可能性はあるのでしょうか。
「何代も続く美人の家系の産まれ」であり,「祖母に言わせるとなかでもアヴィーナいちばんきれい」だと言われているのに,アビーは「祖母の目が偏っているから」と自分を評価しています。どんな格好をしていても美しく見えるアビー。そしてアビーをめがけて男たちが寄ってくるのにそれに気付かず,見向きをしないアビーはヒロインとしては最高の存在です。「アラダイス家の美貌のおかげで自分が人を傷つける力を持っていることを警戒し」「神経過敏な反応だったかもしれない。でも自分がビジネスに利用されるの嫌だと」考えるほどの美貌を持つ22歳のアヴィーナ。まさにNiceHeroineです。


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冷たい伯爵 [ケイト・ヒューイット]

SHALOCKMEMO1091
冷たい伯爵 Count Toussaint's Pregnant Mistress 2009」
ケイト・ヒューイット 仁嶋いずる





様々なヒロインを登場させているケイト・ヒューイット2009年の作品です。今回は天才ピアニスト,アビゲイル(アビー)・サマーズ。音楽家である両親の元で育ち,演奏家としては凡庸であった父のマネージメントの下,少女のころから演奏活動で世界中を巡っているアビーですが,パリでの演奏会の時,聴衆のひとりの男性と演奏中に目が合い,そのまま演奏に集中できなくなってしまいます。演奏後控え室に男性が現れるかと期待していましたが,サインを求めるファン以外は誰もやってこず,何気なく宿泊先のホテルに徒歩で戻る途中,別のホテルのバーにふらりと入ると,なんとそこに件の男性もいるではありませんか。まさに運命の引き合わせ。意気投合しスイートまで同行したアビーですが,リュックという名前以外誰かも分からないうちに男性はアビーを残して立ち去ってしまいます。これまでピアノの演奏以外の人生を考えたことのなかったアビーですが,リュックとの出会いがその後の人生を大きく変えてしまうのでした。その後のコンサートの予定をいくつかキャンセルして演奏活動を停止したアビー。コーンウォールのケータリング業者の下で配達係として新たな人生をスタートさせます。というのもこれまで稼いできた財産を父が全て資産運用に失敗して無くしてしまい,食べていくためにはこれしか方法がなかったからです。そんなアビーが配達した先に,なんとあのリュックがいるではありませんか。報道でコンサートを辞めてしまったアビーのことを知り,移転先を探してやっと見つけ出したところでした。そして数日の間に二人の間には深い関係が芽ばえていきます。しかしリュックは決してアビーを愛しているとも,将来のことも話そうとしません。実は妊娠中の妻を事故で亡くし,その原因が自分にあると思い込んでいるリュックは,もう誰も愛せない,結婚したら相手を傷つけてしまうのが恐ろしいと思い込んでいたのでした。今度はアビーの方がリュックの元を去ります。六週間後,アビーは自分が妊娠していることに気付きます。数ヶ月後新聞の報道で「天才ピアニスト,妊娠か?」の記事でアビーのことをリュックが知り,再びコーンウォールを訪れたリュック。赤ん坊とアビーを守るため,リュックは自分の領地の農場にアビーを連れて行きます。そのとき初めてアビーはリュックが爵位を持つ富豪であることを知るのでした。本名はジェヴォーダン伯爵ジャン=リュック・トゥーサン。原題では「トゥーサン伯爵の」とありますが,苗字と爵位は違っているのが普通でしょうから,間違いではないでしょう。日常を離れ,農場でまるで夫婦のように生活する二人ですが,将来のことを話し合うことはせず,ひたすら休日のように過ごす二人でした。そして近くのシャトー・ミラボーがリュックのかつての家だったことを知り,散歩がてら訪れ,リュックのことを知ろうとするのでした。リュックの心の中に亡き妻スザンヌがまだ住んでいるのだろうか。リュックが愛を取り戻し,再び感情を表せるようになるのだろうか。そんな時,スザンヌの母がシャトーを訪れ,アビーと出会います。そしてスザンヌが亡くなったときのことを詳しく教えてくれたのでした。ところが,その時アビーは急に腹痛を訴え・・・。
ベートーベンのピアノソナタ23番f-moll「熱情」op57がストーリー全体の雰囲気を作り上げ,暗い出だしから最後は輝く天上への昇華を歌い上げる名作です。オススメの1作。


タグ:ロマンス
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七日間だけのシンデレラ [キャサリン・マン]

SHALOCKMEMO1090
七日間だけのシンデレラ Pursued by the Rich Rancher
( Diamonds in the Rough 2 ) 2015」
キャサリン・マン 北岡みなみ





ディザイアの価格はどうしてロマンスやイマージュより10円高いの?もっとも,電子書籍で購入すると同じなんですけどね。SHALOCKMEMOも1090番まで来ました。1100番まであと10作です。年内中には達成できるでしょう。7月末から始まった1000番代ですので,4カ月ほどで100冊というペースになっています。
さて,前作「野の花を愛した大富豪(SHALOCKMEMO1012)」に引き続き,双子の片割れアレキサンドライト(アレックス)に対して,祖母マライアの課題が出されます。前作でジョアンナの心を射止めたストーン。二人の結婚式が迫るヒドゥンジェム牧場で障害を持つ子供たちの1週間のキャンプが開催されます。広い牧場はいくつかの部分に分けられており,イベントが開催されると同時にキャンプも行えるということのようです。そこにやってきた自閉症のコーディとその母親のニーナ・ロウェリー。実はこのキャンプはかなり人気で予約を確保するのが難しいほどなのですが,急なキャンセルがあったということで運良く潜り込めた親子なのですが,それはマライアが仕組んだ計画の一部でした。最近牧場の株が買い占められつつあり,そのもくろみが成功すると別のリゾート会社に牧場が支配されてしまう怖れがあり,そうなると普通のリゾートと同じようなホテルやカジノが立ち並ぶ場所になってしまう怖れがあるのです。そしてその株取り引きの命運を握っているのはなんと,コーディに託されている株でした。ニーナの別れた夫で死別したロウェリー家がそのコーディの株の運用をしているのです。アレックスに課せられた課題はこのコーディの株をマクネア家のために買い取る説得をすることでした。出会った瞬間からアレックスはニーナに,ニーナもまたアレックスに惹かれるものを感じます。コーディのそばでその面倒を見ることができるように,ニーナはかつての国連職員の職を辞し,翻訳家として生計を立てていますが,このキャンプでコーディが次第にリラックスしその世界を確実に広げようとしている様子を見て,キャンプへの参加を喜び,その主宰者であるマクネア家に感謝し始めます。しかし,初めはただのカウボーイだと思っていたアレックスがマクネア家の一員であることを知り,警戒心を抱かざるを得ません。アレックスにとってはもうニーナやコーディから離れられないところまで来ており,株の件が知られてしまえばニーナの信頼を裏切ることになり,きっと二人はキャンプを去ってしまうだろうと状況に悩みます。しかしそれを黙っていては逆に二人を騙したことになると思い,ニーナに打ち明けることにします。ここが最大の山場になるところですが,その前にコーディが行方不明になったり,ストーンとジョアンナの結婚式とパーティにコーディとニーナを招待したりと,いろいろと状況が変化していき,ついに打ち明けるときがやってきます。さて二人の関係はどうなるのでしょうか。そして課題は見事にクリヤーできるのでしょうか。理屈抜きに楽しめる作品です。これは前作を読んでいなくても本作だけで十分楽しめます。
ディザイアの表紙はいつも素晴らしいのですが,本作のモデルの清楚で理知的な感じは今月のマンスリーベストです。


タグ:ディザイア
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