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置き去りの花嫁 [キャット・キャントレル]

SHALOCKMEMO1129
置き去りの花嫁 
From Ex to Eternity

(ウエディングドレスの魔法 1) 2015」
キャット・キャントレル 野川あかね





 今月30冊目。7月以来久しぶりに30冊台に乗りました。年間300冊を優に超え,309冊になりました。今日中にもう1冊読めば,1日1冊,年間310冊となりますが,それも夢ではない状況です。でも欲張るのはやめましょう。じっくり作品を味わってこそ読書の楽しみですし,また新たな歳への目標もできるというものです。
 さて本作ですが,「シンデレラになれる日」3部作後の新たな連作「ウエディングドレスの魔法」の開幕です。本作に登場するヒロインは,カーラ・チャンドラー=ハリスには妹メレディスがおり,タイトルも「前妻から永遠に」と「嘘から永久に」と関連強いタイトルになっていますので,シリーズというよりは姉妹のロマンスを描いて2作で1作的な作品になっています。2年前に結婚式を直前でドタキャンされ,お腹の子も流産してしまい,もう自分の結婚はこりごりと思いながらも,結婚式で愛する二人が幸せな時間を過ごして欲しいという自分が果たせなかった想いを叶えようとウエディング・ドレスのデザインを専門にする会社を設立してここまで少しずつ成長を見せてきたカーラが仕事でやってきたのはブライダル・エキスポが開かれるカリブ海の島のリゾート地。そのイベントの企画の責任者としてやってきたのはかつての恋人で結婚式をドタキャンした張本人のキース・ミッチェル。複雑な思いを抱えるカーラですが,ここは仕事と割り切って取り組もうとします。キースの方は自分と別れたあといつの間にこんな会社を経営するようになったか不思議に思い,改めてその美しさと企業人としての実力を身に付けて自分の前に現れたカーラの姿に惹かれている自分に気付くのでした。イベントの開始まであと数日,準備に余念のない二人を襲ったのはミニ台風。イベントの前日には嵐が激しくなりそれまでの準備が無になってしまうような自然の脅威の中,二人は逆に燃え上がります。2年前はほとんど自分のことを話さないまま結婚になだれ込もうとしていた二人ですが,夜を共に過ごすうちに互いの本当の胸の内を少しずつ話せるようになります。そして改めてキースを愛していることに気付くカーラですが,キースは相変わらず永遠の関係や結婚という形式を嫌っているのです。イベント開催中だけの関係に留めようと決意するカーラ。そして嵐が去って2日後にイベントを延期し,二人が一緒にいられる時間は秒読みになって行きます。イベントの最後のウエディング・ドレスショーと模擬結婚式で,キ言葉に「異議あり」と大きな声でステージに駆け寄るのでした。
なかなか凝った舞台設定で心からの関係を築けない二人が徐々に歩み寄りハッピーエンドにいたる様子を描いた王道ディザイア・ロマンスの良作です。


タグ:ディザイア
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隠された愛の証 [レイチェル・ベイリー]

SHALOCKMEMO1128
隠された愛の証 The Blackmailed Bride's Secret Child 2010」
レイチェル・ベイリー すなみ 翔





 奪われるように異母兄に連れ去られてしまった元恋人のもとを訪れたニコ・ジョーダン。自分を捨てたその恋人を恨みながら5年の時が過ぎました。異母兄ケント・ジョーダンが亡くなり,未亡人となったベス・ジョーダン(旧姓ジャクソン)は4歳になる息子のマーク(マルコ)と二人暮らしですが,マークにジョーダン家の遺産が相続されることになり,その書類へのサインをベスに求めるためにニュージーランドにやってきたのです。オーストラリアでブドウ栽培とワイン製造を営むジョーダン家の長男ケントは後妻との子供ニコを毛嫌いし,ことごとく辛く当たってきました。二人の父親ティム・ジョーダンも5年前,体調を崩し,さらにニコの母の死という出来事の中でケントはニコの恋人ベスを連れて家を出奔し,ニュージーランドのぶどう園に移り住み,ベストの結婚生活を送っていたのでした。愛憎の交錯するこの物語は,ちょっとドロドロ系かと思いましたが,実はベスの息子マークはニコの子供であり,そのことをベスもケントもニコやティムには気付かれないよう秘密にしてきたのでした。というのもニコには出生の秘密があり,そのことをニコやティムに知られるとニコは事業の相続権を失い,ジョーダン家の人間ではないことが分かってしまうからです。ケントにそのことをネタに脅かされたベスは,この秘密と苦しみを抱えたまま愛のない結婚生活を5年にもわたって送ってきたのです。しかも息子のマークがニコにそっくりなことに気付かれてしまうと,せっかく秘密にしていたニコの出生の秘密も知られてしまう可能性があり,それはなんとしても避けたいことでした。それがベスのニコを愛するやり方だったのです。ティムが亡くなれば,そのことも含めニコには本当のことを知らせることができる。それまでなんとか・・・。そんな計画や思惑も,ケントの死,そしてニコ本人の突然の訪問によりすっかり狂ってしまいます。家のドアを開けた瞬間ニコに対する愛情があふれてしまうベス。きっと自分を憎んで仕返しをしようとするだろうニコにとにかく冷静に対応しなければという想いと,それを裏切るようにニコに惹かれてしまう自分にベスの苦しみはますます高まっていきます。
 初めは自分を捨てて異母兄と出奔してしまったベスに自分にした仕打ちを後悔させ,愛する父の孫のマークとの出会いを求めてきたニコですが,ベスと出会った瞬間,気持ちを揺らぎを止めることができなくなります。そしてそれに応えてくれるベスの反応にも・・・。二人の極限での気持ちのぶつかり合いが続いていきます。これが本作の中心部分ですが,偶然ベスの両親と一端家に戻ってきたマークを見た瞬間,真相に気付くニコ,そしてベスへのプロポーズ,それを断るベス,という具合に5年前のことが次々と物語られていきます。ケントとは異なり家族や愛情を大切にするニコをよく知るベスがもっとも恐れていたのがこのことでした。それでもニコの出生の秘密だけはなんとか知られずにいたい。そんなベスの気持ちも,ニコがケントの事務所で,かつてベスがケントから脅されていたニコの秘密を記した手紙を発見するに及び,物語は急速に進展していきます。ティムもすでにことのことを知っていたのです。知っていながら遺言を書き換えるつもりはないと電話でニコに話すティム。その確証を得てから再びニコはベスの元を訪れます。5年間も自分にこのことを告げずにいたベスへの恨みを抱えたままで・・・。二人の関係はどうなるのでしょうか・・・。ヒーロー,ヒロインの心を動きを中心にロマンスを語るレイチェル・ベイリーの真骨頂とも言える巧みな心理描写を生かした本作。一気読み間違いなしの傑作です。


タグ:ディザイア
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不実なギリシア海運王 [ケイトリン・クルーズ]

SHALOCKMEMO1127
不実なギリシア海運王 Greek's Last Redemption
ホテル・チャッツフィールド 13) 2015」
ケイトリン・クルーズ 藤村華奈美





 このシリーズ第2シーズンはホテル・チャッツフィールドとハリントンホテルの確執からスタートして,世界各地の2大ホテルを舞台にするという共通点はありますが,登場人物たちは必ずしもチャッツフィールドやハリントンと関係のない人たちも多く登場してきます。本作では,ホリーとテオのツォウカトス夫妻の離婚騒動でスペイン,バルセロナのチャッツフィールド,ハリントンが舞台になります。ギリシア人のテオは父から事業を引き継ぎ,船舶会社「ツォウカトス・シッピング」を経営する億万長者ですが四年前に出会ってすぐに意気投合し結婚,しかし半年後にはホリーがテオの元を去り別居状態が続いてきました。テキサス出身のホリーとギリシア人のテオの情熱に満ちた半年間の結婚生活も互いの憎しみのうちに別れを告げ,ホリーはテオの預金から好きなだけカードでお金を引き出し,慈善事業につぎ込んでいます。そのホリーがテオにテレビ電話でテキサスから連絡を取ってきました。四年経ってギリシアの法律ではもう離婚が認められる時期だと・・・。テオはホリーを自由にさせたくなくて,自分の元を去った妻を罰するつもりで離婚はしないと言い張っています。なぜ不倫して自分の元を去り,好き勝手しているのか,どうしても妻の行動を理解できないでいるのです。3日後にバルセロナで会って話をしようということを提案し,テオは電話を切りますが,そこは二人が1カ月間の新婚旅行をした場所だったのです。テオに割り当てられたのはまさにチャッツフィールド・バルセロナの新婚用のスイートルーム。そしてホリーはハリントン・バルセロナに宿泊しているのです。ギリシアのサントリーニ島で出会い,夢のような日々を過ごした二人が角突き合わせて互いの胸の内,本音を探り合うためにこの場所にやってきたのです。結婚生活がうまくいかなかった両親を持つことでは二人は共通していました。そして両親の行動しかしらない二人が結婚生活をうまく生かせる方法を知らないことでも共通していたのです。実はホリーが不倫をしていたというのはホリーが考え出した嘘でした。しかし当時テオはその嘘をしっかり信じてしまい去って行くホリーを追いかけもせず,逆に他の女性との情事を数多くこなしていたのです。そのことを責められたテオはホリーに逆襲します。結局二人はまた理解できないまま,ホリーはテオの元を去ろうとします。しかしタクシーをUターンさせ,ホリーは今回は再びテオの元を訪ねるのでした。
 「僕らは出会ってすぐに結婚した。あまりにも早すぎたんだ。僕らは大人になりきれていなかった。どの夫婦も育っていくものだよ,ホリー。そうでないとやっていけない。」というテオの言葉が,長い年月をかけて始めて夫婦が理解し合えることを物語る大人のロマンス作品です。


タグ:ロマンス
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恥知らずな求婚 [キム・ローレンス]

SHALOCKMEMO1126
恥知らずな求婚 The Sins of Sebastian Rey-Defoe
7つの愛の罪 3) 2015」
キム・ローレンス 山本みと





 秘書もの,シークものときてシリーズ3作目の本作は復讐譚です。まぁミイラ取りがミイラになるというお話しです。このシリーズ,シリーズとは銘打っていますが登場人物等に関連はなく,オムニバス風にまとめられたシリーズですので,それぞれ独立して読んでいいシリーズと言っていいかと思います。さて,大学生の時世間知らずだったマリは大学の講師に誘われるがママに惹かれて危うく・・・というところをセブに助けられます。冷酷な言葉と共に・・・。そしてその後二人の生活には関係がありませんでした。しかしセブが結婚するという記事を読んだマリは,セブに復讐しようと結婚式に乗り込み,「異議ありー,私たちの赤ちゃんは・・・」と大芝居を打ち,結婚式を中止させてしまいます。もともと便宜的な結婚と割り切っていたセブは,花嫁とその家族から失望されても大きな痛みは感じませんでした。それよりも,「曲線美のすばらしい身体」「左右対称の完璧な卵形の顔ではなく,」ふっくらした唇,大きな目,金色と赤の爆発したような派手な髪をもつマリに惹かれている自分に気付くのでした。どこかで会ったような・・・。かつて出会っていた二人ですが,セブはすっかり忘れていました。そしてセブの異父妹フルアとマリの双子の兄マークの間を邪魔したセブに復讐しようとしたマリの思惑をそこで知るのでした。事故で長期のリハビリを必要とすることになったマーク。その治療費とリハビリにかかる生活費を負担しようというセブの申し出を断りつつも,スキャンダルの埋め合わせの条件として偽りの結婚生活を1年半して欲しいと言うセブの申し出には嫌とは言えないマリでした。登記所での簡単な書類上の式を挙げた二人はスペインの祖母の元に向かいますが,もはや二人の間の互いを求め合う気持ちの高まりを留めることはできませんでした。そしてマリの妊娠。マリは,妊娠によってセブが便宜的な結婚をどう変更するのか不安でしたが,セブの気持ちはもうマリへの愛で一杯でした。しかしそれを口にすることはできませんでした。両親の何度も離婚結婚を繰り返す過去を目にして,愛と結婚を認めたくない気持ちが強かったからです。マリは両親に捨てられ,3度目の里親のもとでマークと幸せな家庭の中で成長してきたので,愛を信じる気持ちが強かったのです。そして披露パーティを開こうとした当日,マリとマークを捨てた父親が,ケータリング業者に変装してセブの書斎からものを持ち出そうとしているのをマリが見つけ,自分たちを捨てた父親が犯罪者であることを知ります。パーティの間中なんとか動揺を抑えていたマリですが,突然倒れ,流産してしまうのでした。さあ二人の便宜的結婚もこれまでか・・・。そうマリが思ったのも当然でしょう。犯罪者の父と流産,これ以上セブを苦しめるネタはないのですから・・・。セブはどう対処するのか・・・。
マリの,激情的ですがしっかりとしたプライドと深い愛情が共感を呼ぶこと間違いなしです。Nice_Hiroine!


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琥珀の寵姫 [トリッシュ・モーリ]

SHALOCKMEMO1125
琥珀の寵姫 Captive of Kadar
砂漠の国で恋に落ちて 3) 2015」
トリッシュ・モーリ 柿原日出子





 原題は「カダールの籠の鳥」。正確にはこの「砂漠の国で恋に落ちて」のシリーズではないかもしれませんが,FFの方でシリーズ名を謳っていますし,作家本人のウェブ(http://www.trishmorey.com/)でもシリーズに入れているので,このシリーズに分類してみました。舞台はトルコで「砂漠の国」とは言いがたいのと,ヒーローがシークではないことなどから邦訳ではシリーズの中に入れていないのかもしれません。しかし,ヒーローのカダールはじめ大学同期の4人のヒーローたちの関連作なのでシリーズの中に入れていい根拠はあると思います。ただ,著作年が前2作は2012年で,本作と第4作2015年と間が3年離れているので,それもちょっとシリーズに入れていない理由なのかもしれません。第1作,第2作は未読なので,さっそく購入してみます。
 さて,本作のヒロインはアンバー・ジョーンズというオーストラリア人。祖母の母,つまり4代前の同名のアンバーの日記を母方の実家のイギリスの家の屋根裏部屋で見つけ,同時に貴重で豪華な宝石のついたブレスレットを発見したことからアンバーはこの曾祖母の存在を知ります。恋人の裏切られ,失意の中で休暇の旅行に行こうとしたとき,彼女はこのことを思い出し,旅行先をトルコに変更しました。舞台がイスタンブールとトルコ国内であることもかなりエキゾチックな雰囲気ですが,ヒーローと共にあちらこちら観光旅行に行ってその描写も豊富であることから,あまり馴染みのない舞台でのロマンスとなっていてそれも本作の大きな魅力だと思います。そして市場で老人から古いコインを売りつけられようとしていたとき,巡回中の警官から職務質問を受けてしまいます。国内の遺跡や遺品などの物品を売り買いしたり,国外に持ち出そうとすると大きな罪に問われるということを知らずに,アンバーは言葉も分からないまま老人が差し出したコインを手にしてしまったからです。その苦境を救ってくれたのがヒーローのカダールでした。警察署で事情聴取されるときも現地の言葉と英語の通訳をしてくれ,国外に出るまでは自分が責任を持つからと言って事なきを得たのです。しかし,カダールが自分を泥棒だと思っていることは彼の口からはっきり言われてしまいます。旅行で来るからにはガイドブックなどでトルコのことを調べてくるはずで,物品の取り引きや持ち出しが重い罪になることは分かっているはずだというのがその理由でした。しかし,失恋の痛手と急に目的地を変えたためアンバーは言葉も含め,あまりトルコのことを調べておらず,曾祖母の日記とブレスレットのことばかり考えて訪問を決めたのでした。アンバーはカダールには日記のことは話したのですが,ブレスレットのことを話すと本当に泥棒だと思われてしまうと思い,そこまでは話すことができませんでした。実はカダールはこの事件の発端になった市場での事件を目にする前にアンバーに気付き,その美しさにかなり惹かれ始めていたのです。そして2日後にイスタンブールを去るまで,アンバーが自分の保護下で一緒に行動できることに強く欲望を抱いたのでした。そしてカダールの誘惑が始まります。アンバーもまたこの正体不明の,しかもかなりハンサムな男性を意識し,旅先だけでの付き合いと割り切ってその誘いに乗ることにするのです。二人の相性は抜群でした。そしてカダールの背中を覆う大きな火傷の跡の理由を聞いても,そのことに躊躇することはありませんでした。カダールにしてみれば,これまで関係を持ってきた女性たちが自分のこの火傷跡を見ぬ振りをするばかりでその理由を尋ねようとしなかったのとは異なり,この真っ直ぐに疑問を口にするアンバーにますます惹かれていきます。幼いころ育った村は花火の密造で生活を成り立たせており,その貯蔵庫の爆発事故でカダールは家族全員を失い,助けようと火の中に飛び込んで大火傷を負ったのでした。その後,メフメットという恩人の元で育ち,現在の地位を確保したのですが,そこには,大学時代の友人たち,ゾルタン,バヒール,ラシッドとの交流も大きな要素となっていたようです。そしてアンバーの予定していた国内ツァーが業者の倒産で中止となった時,カダールはアンバーを連れて国内あちらこちらを観光して回ることになります。昼間は観光地で,そして夜はベッドで,ずっと二人での行動が続きます。ブルグクへ,そして岩の中に作られた昔の離宮「月の館」へ。その中でついにアンバーは曾祖母のブレスレットと対になるトルコに残されたブレスレットを発見し,曾祖母の日記を証明するのでした。いよいよ別れの時,カダールはアンバーとの別れを認めたくなくてアンバーが荷物をまとめている寝室のドアを開いたとき,アンバーは手にしていた物を後ろに隠したのが見えます。ついにアンバーがトルコに持ち込んだ曾祖母の形見のブレスレットをカダールに見つけられてしまいます。やはり君は泥棒だったのかと,アンバーの弁明を聞こうとせずに決めつけるカダール。二人の別れは出会う前よりかなり辛いものになってしまいました。
邦訳版の表紙のアンバーのイメージモデルは大胆に背中を見せるドレスを着,こはく色の髪を背中に垂らしています。Best_Imageではありますが,文章で描かれているアンバーの率直さ,純真さは表現し切れていないような気がしています。また,登場人物の紹介ではアンバーは小学校教師となっていますが,文章中ではメルボルン郊外の「学校」とだけ記されていて,しかも別なページでは「身体や発達に障害を持つ子どもたちのための特別な学校」とありますので,「特別支援学校」の小学部というのが正確なところでしょう。


タグ:ロマンス
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秘書という名の愛人 [キャシー・ウィリアムズ]

SHALOCKMEMO1124
秘書という名の愛人 At Her Boss's Pleasure 2015」
キャシー・ウィリアムズ 深山 咲





今年年間300冊を超えた読了冊数がどこまで伸ばせるか,一昨日配信された1月5日刊の新刊を読み始めました。キャシー・ウィリアムズの本作はまさに秘書ボスものの王道を行く作品でした。ヒロインのケイト・ワトスンは秘書というより会計士として財務に携わっていますが,社長であるヒーロー,アレッサンドロ・プレダの実務スタッフでそのうち企業買収などの会計部分を手がける,いわゆる会計のプロ。頭が良く,スタイル抜群の彼女は,母が次々に男性に頼った生き方をしてきたのに嫌気がさし,自らはとにかく目立たないようきっちりとスーツを着込んで仕事をするようになっていました。あるきっかけでそんなスーツの下の彼女の本当の姿を想像したとき,アレッサンドロは恋に落ちたのです。しかし,自分の両親が愛に目が眩み事業そっちのけで一族の財産を使い果たして,自分が企業を立て直さざるを得なかった経験から,気軽な交際以外,愛に元ずく将来を約束するような男女関係を頑なまでに拒否していたのです。カナダへの出張にケイトを伴ったアレッサンドロは,どうにも我慢ができなくなってケイトを誘惑します。旅の恥は掛け捨てとでもいうかのようにアレッサンドロの誘いに自ら乗ってしまったケイトですが,イギリスへの帰郷後は再び何事もなかったかのように仕事に没頭するという約束をアレッサンドロに取り付ける慎重さを持っていました。勿論,アレッサンドロを愛するようになっていた自分を欺いて・・・。この二人が帰国後,どんな風に交際を再開するかが後半の読ませどころですが,週末出かけるというケイトの言葉にてっきり別の男に会いに行くと誤解してケイトを追いかけてしまったアレッサンドロ。そしてそれを嫉妬だとケイトに看破されてしまったアレッサンドロの慌てぶりには,思わずクスリと笑ってしまえる場面でした。アレッサンドロの挽回や如何に・・・。とにかくスイスイと面白く読み進められる好著です。


タグ:ロマンス
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憧れのウエディング [エマ・ダーシー]

SHALOCKMEMO1123
憧れのウエディング A Wedding to Remember 1994」
エマ・ダーシー 岡 聖子





 再婚を予定している教師のジョアンナは前夫のロリーの元を訪れ,再婚する予定だと告げます。ロリーにまだ自分の気持ちが残っているのかを確かめたいという思いで・・・。それをロリーはすぐに見抜き,ジョアンナを抱き上げて自分の屋敷に連れて行くのでした。そこは離婚前にジョアンナが思い描いて計画したとおりに作り上げられた新居でした。なぜ・・・ロリーはこんな家を作ったの? 実は二人の結婚はジョアンナの母親の反対を押し切って行われたものでした。蜜月は長くは続きませんでした。しかも仕事一筋のロリーが,別の女性を妊娠させたということを聞き,離婚を決意したジョアンナ。自分の勤める私立高校の若き校長との婚約が間近に迫っています。それも母親が諸手を挙げて賛成する相手でした。しかしジョアンナは母の認める相手との結婚は結局母の影響下から逃れられないと思い,逡巡していたのです。前夫への気持ちを断ち切るために出かけたジョアンナでしたが,いわば返り討ちに遭ったようにロリーと関係を復活させてしまいます。そこに婚約相手が乗り込んできて,そしてロリーの元にも美しい秘書が訪ねてきて4者鉢合わせという状況になります。ロリーのとっさの機転で婚約相手の疑いは晴らされたのですが,しかしジョアンナはもうこの婚約は無効にすることに心を決めたのです。前夫の浮気は果たして本当だったのだろうか。そんな疑問がふと湧いてきます。ロリーは今でもジョアンナに強い気持ちを持っていることが分かったからです。しかし,あの美しい秘書の存在。そこに引っかかりがあり,まだ全面的に前夫を信じることができません。ここから二人の葛藤がいよいよ本格化していきます。ジョアンナの親友の独身教師を結婚に向かわせるためにアドバイスをした数日後にお見合いから帰ってきた親友が連れてきたのはなんと変装した前夫。またもや裏切られた気持ちのジョアンナ。そんなこんなが続いていき,無理のないストーリー展開と二人の気持ちの変化が丁寧に描かれ,感情移入しやすい作品に仕上がっていきます。さすがエマ・ダーシー,その中でもこれは傑作?と思わせる作品です。そして後半は,ジョアンナの待ち望んだ本格的な結婚式の場面が描かれます。そして,最後の一行が独立して,後日談を一気に盛り上げます。とてもしゃれた終わり方,ドラマを見るような見事な作品です。


タグ:イマージュ
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イタリアン・クリスマス [ヘレン・ブルックス]

SHALOCKMEMO1122
イタリアン・クリスマス Stone Angel 1992」
ヘレン・ブルックス 大島ともこ





 少年たちの乗った車に接触された自転車できたく途中のタニアを助けてくれたのは,名乗りもせずに言ってしまいました。しかし彼のアフターシェブローションの香りにゾクゾクした自分が意外だったのです。翌日アパートに大量の薔薇の花束が贈られてきました。家主のミセス・ジェンキンズからは滞納している家賃だけではなく,男性との関係を邪推する嫌みも言われてしまいます。三ヶ月前,それまでナニーをしていた家族がアメリカに渡ってしまい,数件の家庭との面接を終えたところですがまだ連絡はありません。もし次の就職先がなければ両親の元に帰らざるを得なくなります。両親との関係があまり良くないタニアにとってはそれは最悪のパターンでした。先週出した手紙に来た返事にはちょっと納得できない条件も書かれてありましたが背に腹は替えられず,面接に出かけてみると,雇い主はなんと昨日の男性エンリーコではありませんか。偶然出逢った二人の出会いがロマンスの始まりでした。特に目立って美貌に優れているわけでもなく,また特技をたくさん持っているわけではないもののナニーとしての経験は豊かです。とりあえず子どもたちに会ってみると,双子の男の子の方がタニアにべったりしてきます。女の子の方が自立心が強いようですが優しい子でタニアはすっかり二人と仲良くなります。問題はエンリーコがイタリアにもうひとりのナニーのギルダと双子を連れてイタリアに帰郷するのにタニアにも一緒に行って欲しいというのです。子どもたちはとてもいいしギルダとも家政婦や使用人たちとも仲良くできるのに,なぜかエンリーコとは言い争いをしてしまうタニアでした。決して嫌っているわけではなく,いつも何かとかんに障ることを言ってきたり,誘惑するように触れてきたりするエンリーコにどう接していいかわかりません。自分が惹かれていることもまたしゃくに障るのでした。一方エンリーコの方もタニアをイタリアに同道する必要はないにもかかわらず何故か一緒に連れて行きたい気持ちを抑えることができません。何かと反抗するタニアに惹かれるものを感じているエンリーコでした。エンリーコの秘書のシーリアに会った瞬間,タニアは自分に対する敵意を感じてしまいます。実はシーリアはエンリーコに気があって盛んにアタックするのですが,鼻も引っかけてもらえず,さらにエンリーコがタニアを連れてきたことで脅威を感じていたのでした。エンリーコの亡き妻をも知るシーリアとしては妻亡き後のエンリーコの伴侶として自分がその地位に収まりたいと思っていますが,なかなかうまくいかないのでした。タニアはそんなシーリアの気持ちに気付き,エンリーコとの関係を深めることに躊躇しています。一方エンリーコは妻が亡くなったのは自分の責任だという思いから再婚は考えていないのですが,タニアに惹かれてしまう自分に戸惑っています。なかなか関係を深められない二人にやがて別れの時が来ます。エンリーコの従兄弟のカミーロがエンリーコの留守中タニアにちょっかいを出してきたのです。強く退けようとしていたとき,なんとエンリーコが予定より早く帰宅するのです。現場を見られた二人の説明を聞かないうちにエンリーコはタニアにすぐに出て行けと言い放つのでした。ロンドンに戻ったタニアに家政婦の推薦でハッチン家のナニーの仕事に就くことができました。しかし,これも数週間の間の臨時の仕事。何事も前向きに考えるタニアはとりあえず飢えることはないと,ホッとするのでした。そんなタニアの元をエンリーコが訪れます。さて二人の関係は復活するのでしょうか。
 イタリアでのクリスマスの場面をクライマックスに元気いっぱいのナニーと妻を亡くした男性エンリーコの丁々発止の言い合いも面白く,明るく物事を前向きに考えようとするタニアの愛嬌あふれ,しかも人を信じようとする純粋な心が読者の感動を誘う秀作です。Nice Heroine!


タグ:ロマンス
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冬の白いバラ [アン・メイザー]

SHALOCKMEMO1121
冬の白いバラ White Rose of Winter 1973」
アン・メイザー 長沢由美





全くわかり合うことができない嫁と姑,韓流ドラマのような展開の作品です。全く,本作のねじれた人間関係はなんということでしょう。6年前に愛し合いながらちょっとした言葉の応酬で別れてしまったロバート・ペンバートンとジュディ。仕事の関係でどうしても結婚式の前の週にベネズエラに旅立たなければならなくなったロバート。それを許すことができなかった19歳のジュディ。まだこの時ジュディはロバートの行動を理解することもできず,ロバートもまた十分にジュディを納得させることができずに立腹したまま旅立ってしまいます。そしてジュディの孤独を慰めたのはロバートの兄のマイケルでした。マイケルもまた不治の病を持ちながらもそれを告げないままジュディと結婚しマレーシアでの軍務につきます。急な結婚の理由にはジュディがロバートの子を妊娠したことが分かったからでした。初めはロバートにそのことを知らせようと手紙で帰国を促したジュディですが,ロバートからの返信はありません。そしてマイケルと相談してロバートには打ち明けないようにしようということになったのでした。愛らしいエマが誕生し,マイケルの死後,ジュディはエマと幸せに暮らしています。そんな二人の元にロバートがマイケルの遺言で自分が後見人になったと言ってきます。再びジュディに大きな影響力を持って現れた姑のルーシー。ロバートはその時パメラという幼なじみと婚約中でした。そしてロバートのロンドンのフラットにジュディとエマは連れて行かれます。そこには義母のルーシーが万全の体制で待ち構えていました。やがてエマの家庭教師と称してサンドラという若い女性がやってきます。サンドラはロバートの婚約者パメラの親友。そしてさらにパメラの実父のフランシスが妻がありながらジュディに言い寄るという複雑な人間関係になっていくのです。誰かに優しくされるとすぐその気になってしまい,何か不足の事態が起こるとすぐ動転してしまうジュディには,かなり問題があるように思いますが,特に何か目立って美点のあるようには思えないジュディをロバートもマイケルもフランシスも好意を持ってしまうのは何故かという点には作者は触れていません。エマがロバートの子供であることはエマが木から落ちて頭に怪我をし,輸血の必要ができたことから明らかになっていくのですが,その時もただ成り行きに任せてしまうジュディのふがいなさに読者としてはちょっと首をかしげてしまいます。まぁそれが普通の女性の反応だと言ってしまえばそれまでですがヒロインとしては,「うーんどうかなぁ」という行動ばかり目立ってしまいますね。ラストも何故か中途半端で,あまり記憶に残らない作品ではないかと思います。そしてタイトルにもなっている「白いバラ」の意味がよく分かりませんでした。


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恋より情熱的に [ミランダ・リー]

SHALOCKMEMO1120
恋より情熱的に The Playboy's Virgin
(プレイボーイの誘惑 2) 2000」
ミランダ・リー 真咲理央





 今年の年間300冊目になる作品です。読了冊数はこれまでの最高は2005年の年間130冊でしたが,今年はそれをずいぶん上回り,10年ぶりの快挙となります。また今年6月の月間39冊も記録を大きく塗り替えました。5月から7月の3カ月間で103冊と4半期でほぼ昨年の年間冊数と肩を並べるほどになったのが大きな原因だろうと思います。
 さて,そんな記念になる作品に選んだのがミランダ・リーの作品です。教師の父親と裁縫師の母を持つミランダですので,本作でもそうですが,教育に関する職業や,服飾関係の職業の登場人物が多く出ているようです。また,本作にはシドニーというオーストラリア最大の都市と,「奥地」といういわゆる地方とを対比させてローカル色を出しています。アメリカなどでも「最深部」などという言い方がありますが,海岸からかなり内陸に入った地域をこのように呼ぶのでしょう。そこは,灼熱の砂漠が存在し,人口も少なく荒れ果てた土地柄がイメージされています。「アウトバック」と「奥地」が同じことを指しているのか,地方が異なるのかはちょっとよく分かりませんが,イメージとしては同じようなものなのかなと思っています。どなたか詳しい方がいたらコメントが欲しいものです。しばしば大きな森林火災に見舞われるオーストラリア。メルボルンなどでも何週間も続く森林火災のニュースが流れたような記憶があります。internetで「オーストラリア 森林火災」で検索してみたらトップに出てきたのは「オーストラリア「最悪の森林火災」で死者200人・1800棟が焼失」と出てきました。いつのことなのかよく分かりませんが,毎年のようにこのような火災の被害が出ているようです。留学先にオーストラリアを選ぶ日本の学生が多い最近ですが,このような被害に遭わないよう願うばかりです。
 本作のヒロインはそんな奥地でB&Bのウエイトレスをしているタニア・ウィルキンソンです。いわゆる田舎の女の子(といっても23歳ですが・・・)が突然遺産が舞い込んできて,それを知らせに来た富豪とロマンスに落ちるというシンデレラ・ストーリーですが,自立心が強く,磨けば光るスタイルの良さと美貌を持つタニア。このハーレクインSP文庫版の表紙モデルはまさにズバリそんな女性で,こればBest_Imageといってもいいでしょう。ハーレクイン文庫版の表紙はシドニーの有名なオペラハウスと橋が写っていてその雰囲気を出していますが,女性モデルはちょっと田舎くささが抜け切れていない表情で写っています。「プレイボーイの誘惑」シリーズの第2巻になります。ヒーローとなるプレイボーイは広告代理店を1代で築き上げた富豪ハリー・ワイルド。シドニーにいくつもの客室と最新設備を持つペントハウスを持ち,有名どころの企業の広告を成功させていますが,タニアの叔母の会社「ファム・ファタル」の広告も手がけており,その叔母が亡くなってタニアが女性近親者として遺産を受け継ぐことになったことから奥地にタニアを迎えに行きます。かつてタニアにはロバートという恋人がいましたが,実は妻帯者でありすっかり騙された経験を持つタニアは男性との付き合いはそれ以降全くありませんでしたし,奥地ではタニアのふさわしい年齢の男性もイナというのが実情だったようです。しかしハリーを見た瞬間,タニアはすっかり惹かれてしまい,その気持ちを相手に悟られないように帰って冷たい態度をしてしまうのでした。一方はリーの方はなんとかなだめてでもタニアをシドニーに連れて行き最初の株主総会までの1カ月間で会社を建て直してもらわないと会社は営業不振で倒産してしまう可能性がありました。初めはお飾りとして1カ月間をシドニーで過ごしてもらおうと思っていたハリーは,タニアがホテルの経営のマネジメントの経験があり,叔母に似て磨けば光る美貌を持っていることに気付いてからは,タニアを励まし,シドニーで暮らして欲しいと思うようになります。タニアには父親代わりのアーニーという男性がおり,このアーニーがなんとハリーとぴったりと話が合うようになります。シドニーに行ってからタニアがアーニーにかけていろいろ報告するその電話をハリーが引き取り,そのまま30分以上も話してしまうなどタニアよりハリーの方がアーニーとの会話を愉しんでいるふしがありました。さて,シドニーで1番と言われる美容室ですっかり変身してしまったタニアはまさに叔母と同じ絶世の美女に生まれ変わり,会社の経営に乗り出そうとします。そこに待ち受けていたのは,なんとかつてタニアを騙していた男性ロバートだったのです。ロバートの自分ばかりを主張する勝手な経営方針で実は優秀な会社のスタッフが次々に転出してしまい,さらに残ったスタッフからも総スカンを食っていました。タニアは瞬時にロバートをクビにして,転出してしまったスタッフを呼び戻し,会社をかつてないほど成長させてしまったのです。もちろんハリーも少しずつアドバイスをしていましたが,タニアの能力はハリーの想像を遥かに超えるものでした。互いの欲望を隠さずに何日も関係を深めていった二人ですが,初めに二人とも将来を語り合うような関係にはならないと言い切ってしまったために,ぎくしゃくした気持ちを持ったまま,ついにハリーが別れを決意してしまうのです。いまやハリーに劣らず富豪になってしまったタニアとハリーの関係の修復やいかに・・・。とにかく素敵なヒロインのシンデレラ・ストーリーで,オススメの1作でした。


タグ:イマージュ
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