SSブログ

ナニーは逃げだした花嫁 [マリーン・ラブレース]

SHALOCKMEMO1427
ナニーは逃げだした花嫁 Third Time's the Bride !
( Three Coins in a Fountain 4 ) 2016」
マリーン・ラブレース 仁嶋いずる





 原題は「三度目の結婚」
 ヒロイン:ドーン・マギル(?歳)/グラフィック・デザイナー/茶色の髪,赤毛,栗色の髪,天使のような緑色の目,悪戯っぽい笑顔を持つ小さなエネルギーのかたまり,なまめかしい曲線美,ボストン大学でグラフィック・アートの学位を取得,副専攻は広告,ジョージタウン大学で総合デザインメディアの修士号を取得,自然食品会社のグラフィック・デザイナー/
 ヒーロー:ブライアン・エリス(?歳)/「エリス航空システムズ」CEO/身長180センチ超,茶色の髪,吸い込まれそうに青い目,5年前に妻キャロラインをガンで亡くす/
 「トレビの誓い」として99年にラブ・ストリームで三ヶ月連続刊行されたシリーズの関連作のようですが,本作だけ2016年の原作刊行,しかもラブストリーム(本国ではアメリカン・ロマンス)ではなく(すでにシリーズはなくなっていますから),スペシャルエディションをディザイアでという状況です。どの程度関連性があるのかは内容を見てみないと分からないので,そこは後日ということで・・・。とにかく久しぶりのマリーン・ラブレースの作品です。
 ヒロインのドーン・マギルは教会の祭壇に向かう直前で逃げだした花嫁経験者で,しかも二度も!。婚約不履行者常習者ということでしばかれても不思議ではないのですが,この当たりの事情はさておき,ヒーローのブライアンは,とにかく息子を面倒見てくれるナニーが早急に必要でした。やってきたのは,「茶色の髪に天使のような青い目をし,悪戯っぽい笑顔を持つ小さなエネルギーのかたまり」という若い女性でした。名前は夜明けという意味のドーン。まさにきらきらした女性なのです。その明るさに息子のトーマス(トミー)もすっかり気に入ってしまいます。ドーンと友人たち,ケイトとキャリーは何でも話し合い相談し会える親友。ドーンはかつて2度婚約し,2度とも式の前に逃げだしています。さて,トミーの父親ブライアン・エリスは航空会社を自力で興し,ケイトの夫トラヴィスとともにNATOの基地で極秘のプロジェクトに参加していました。ローマのトレビの泉に願い事をしにやってきた3人の女性たちのうち,ブロンドのケイト,ブルネットのキャリー,そして赤い髪のドーンと多彩な登場人物がドーンを中心にさまざまなところで絡み合って楽しい物語が展開していきます。「ブロンドは奔放でブルネットは誠実,そして赤毛のことは誰にも分からない」という例えを絵に描いたような3人です。両親の不仲と離婚,そして2度の婚約破棄と容易には男性を信用しないドーンですが,トミーとその父親ブライアンには,すぐに親しみを感じてしまいます。ドーンの3人の兄たちも,またドーンが不幸になるのではと心配していますが,グラフィックデザイナーとして働くドーンは仕事さえしていれば勤務場所を問いません。そのためナニーとしてブライアンの家で暮らしてもトミーが学校に行っている間は仕事ができるのでした。ケイトは世界銀行の管理職,キャリーはマサチューセッツ州の児童保護局の勤務。それぞれバリバリのキャリアパーソンとして活躍しています。ケイトの夫トラヴィスもアメリカ空軍少佐,イタリアのNATO基地に勤務するカルロ・ディ・ロレンツォ王子とその特別警護班のジョー・ルッソと脇役たちもセレブばかりです。さて二人の生活はトミーを中心に廻っていきますが,隣家のトミーの同級生シンディやその母のカルーサーズ家の人たちも含めて多くの人物が絡んできて,おもちゃ箱をひっくり返したような騒ぎの中でドーンとブライアンの愛は静かに進行していきます。そして3度目の正直と言えるドーンとブライアンの結婚式も警察が絡む一騒動がおこり,全く読者を飽きさせません。舞台もイタリアからアメリカ東部へと転々と移り,作者の得意な軍関係の蘊蓄も時々登場し,とにかく楽しめる作品に仕上がっています。


タグ:ディザイア
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

CEOと一夜の天使 [テレサ・カーペンター]

SHALOCKMEMO1426
CEOと一夜の天使 The CEO's Surprise Family 2016」
テレサ・カーペンター 長田乃莉子





 原題は「CEOの驚きの家族」
 ヒロイン:アレクサ(レクシー)・マローン(27歳)/美容師,元カジノ・ダンサー,音楽博士/肩までの長さの赤褐色の髪,ブルーの瞳/
 ヒーロー:ジェスロ・コールダー(35歳)/「ピナクル・グループ」経営幹部(財務担当)/髪は殆ど漆黒,手首にトンボに似た形の痣,藍色の瞳/
 「せつない献身(SHALOCKMEMO1351)」の関連作で「ピナクル」社の4人の孤児たち,クレイ,ライアン,ジャクソン,ジェスロの物語の第2弾で,ジェスロ・コールダーがヒーローです。ヒロインはアレクサ(レクシー)・マローン。優れたダンサーであり,親友の娘を育てるために現在は美容師をしています。そしてダンサーになる前は音楽家でもあったというマルチタレントな女性です。
 ジェスロはかつて一度だけ受賞パーティで酒を飲み過ぎてしまい「エスカレーション」という人材派遣会社(エスコート・サービス)から派遣された女性アリーヤと一夜を共にしてしまいます。アリーヤは一粒種ジャスミン(ジャジ)を出産後,1年後に交通事故で命を失ってしまいます。レクシーはジャジを引き取りますが親類でも何でもないレクシーがジャジの親権をとることは困難で,福祉局により里親に預けられてしまいます。ジャジを取り戻す方法はジャジの実の父親を探し出し,レクシーが育てることを認めてもらうしか方法がありません。ジェスロを訪ねたレクシーは,正直にジャジのことを打ち明け,自分がジャジを養子にして育てたいからと申し出るのですが・・・。
 「彼女には僕の心をとらえる明るさがあった。気取らない物言いは荒んだ僕の心を引きつけた。実際自分にあんな口のきき方をするものは誰もいない。頭が固い?従業員がそんなことを言おうものなら即刻首にするところだ。だがレクシーが口にすると,そのとおりかもしれないとつい思ってしまう。彼女の人となりはすでに危険なほどジェスロの心をとらえつつあった。」かつて孤児だったことであまり人付き合いの得意ではないジェスロにとってレクシーの存在はこれまで感じたことのないやすらぎと興奮をもたらすものでした。そして自分の娘?結婚の意思もなかったジェスロの前に突然現れたこの小さな存在が,レクシーとともにジェスロの心をとらえたのでした。レクシーは自分の生い立ちについてジェスロに語ります。「わたしは音楽の分野ではまさに神童だったの」15歳で大学を卒業し,16歳でバイオリニストとしてミシガン交響楽団と共演。その後音楽に燃え尽きてダンスを習い始め18歳でダンサーとしてニューヨークで勉強を始めますが,そこでアーリアに出会います。22歳で博士号を取得しますが,その後,二人でショービジネスのメッカ,ラスヴェガスにやって来たのでした。ジェスロは娘の存在を確認すると孤児仲間で警備担当のクレイに相談し,レクシーがジャジをきちんと育てられるか判断するために3カ月の3人の同居を決めるのでした。奇妙な同居生活が始まりますが,互いを意識し始める二人にはすでにこの時愛が芽ばえていたのでしょう。孤児として生まれたジェスロ。何でも命令する両親からの逃避を続けてきたレクシー。二人の生い立ちが互いの心を思いやることに繋がっていきます。ときにはジャジにあげるプレゼントに二人が同じものを選んでしまい,レジで片方を返すという一幕も有り,微笑ましい二人の関係が垣間見えます。孤児たちを大切に育ててくれた亡きママ・ハーマンを彷彿とさせるレクシーのジャジへの愛情の注ぎ方に,ジェスロは三カ月を待たずしてレクシーにジャジを預けることを認めていたのですが,同時にレクシーもまた自分の人生にかかわって欲しいと願うようになります。前作の主人公ジャクソンとグレースの壮麗な三階建ての邸宅でのパーティに,レクシーはジャジを連れてでかけました。出張中のジェスロは帰宅後やってくる予定です。レクシーはジェスロがジャジをこの親友たちに見せたがらないことに違和感を感じ,クレイの誘いのままにやってきたのですが,ジェスロがやってくる前に帰宅しようと思っていました。しかし予想外に早くジェスロがやってきてしまい・・・。責め立てるジェスロにレクシーは「私はあなたを愛してしまった。あなたとわたしとジャジで家族になれるかもって」。しかしジェスロからは冷たい言葉しか返ってきませんでした。落胆したレクシーはラスヴェガスを離れる決意をします。さて,二人の恋のゆくえは・・・。
 圧倒的な性格の良さと美しさと才能を兼ね備えたレクシーが本編の中心です。レクシーに振り回されるジェスロもなにかかわいく感じてしまいますが,読後感のとても爽やかでつい笑顔になってしまう傑作です。


タグ:イマージュ
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。