SSブログ
キャロル・モーティマー ブログトップ
- | 次の10件

魅惑の独身貴族 2 謎めいた美女 [キャロル・モーティマー]

SHALOCKMEMO677
魅惑の独身貴族 2 謎めいた美女 To Marry McCloud 2002」
キャロル・モーティマー 萩原ちさと





 魅惑の独身貴族の第2弾。本作のヒーローはファーガス・マクラウド。ヒロインはクロエ・フォックス。クロエは上院議員の娘だが,デザイナーもつとめる漆黒の髪のとびきりの美女。ファーガスは作家としてクロエの父の過去のスキャンダルをミステリー仕立てで書こうとしている。しかしクロエがその相手の娘だとは気づかずに,取材を始めようとする。クロエはそのことをひた隠しに隠そうとしつつもなんとかファーガスに執筆を思いとどまらせようと,驚愕の行動に出る。

 そんなストーリーの作品ですが,ファーガスがクロエにすぐに惹かれていき,中盤以降でクロエの家族に会うのですが,スキャンダルの真実を暴くよりもこの家族,特にクロエの母親や互いに信頼し合い気遣いを魅せる家族の姿にすっかり引き込まれていきます。クロエが自らを差し出さなくても,家族の姿を見せるだけでよかったのですが・・・。さらにはクロエもすっかりファーガスに惹かれていき・・・。


魅惑の独身貴族 1 古城に集う愛 [キャロル・モーティマー]

SHALOCKMEMO676
古城に集う愛 To Marry McKenzie
( To Marry Bachelor Cousins 1 ) 2002」
キャロル・モーティマー 水間 朋




HQB-800
17.05/¥670/208p

P-324
08.06/¥683/156p
I-1615
03.07/¥672/156p


 魅惑の独身貴族(To Marry Bachelor Cousins)シリーズの第1巻。
 ヒーローのローガン・マッケンジーとヒロインのダーシー・サイモンはダーシーの父の店「シェフ・サイモン」で出会います。ローガンにはそれぞれ母親の違うふたりの同年代の従兄がいますが,この3人が本シリーズのヒーローを務めます。本作ではローガンの従兄ファーガス・マクラウドは結構重要な場面で顔を出しますが,もう一人の従兄のブライス・マカリスターは後半に顔を出します。「マッケンジー」「マクラウド」「マカリスター」と韻を踏むような3人の姓は,いかにもいかにもできすぎですね。もちろん「マック」という接頭語に裏打ちされた意味もいかにもスコットランド風で意味深ではありますが。さて,ローガンの母親は,美貌の女優で,ローガンが幼い頃夫と離婚しており,そのときの心を傷をローガンは35歳の今も引きずっており,その母親がシェフ・サイモンと結婚しようとしていることを聞き,母親を許せない気持ちで二人の結婚には大反対です。サイモンの娘ダーシーも,父親の再婚には賛成しかねていますが,ローガンに魅力を感じつつ,義理の兄妹になることにも,非情に苦しい思いをします。
 さて,二人の関係は,さらにはローガンの母親とダーシーの父親の関係はどうなるのか。ローガンの住まいの古城を舞台にしたちょっと悲しさのつきまとう4人の男女の行方が本書の魅力です。
 ハーレクイン文庫による再版で再読に伴いこのメモも修正しました。(2017年4月30日読了)HQ文庫版の表紙のダーシーのイメージはいかにも可憐な少女風な赤毛の美少女です。小柄で華奢な体つき,肩までの長さの赤毛に鼻と頬の当たりに僅かにそばかすがあるグレーの目,濃く長いまつげに豊かな唇,そして両頬にえくぼというのがヒーローのローガンがダーシーを見たときの印象です。初めに出会ったとき,もうローガンはちょっと微笑んだダーシーの笑顔に恋をし始めていたようです。そして父と女優で有名なマーガレット・フレイザー(この時はまだローガンの母だとは知らないでいたのですが)とが婚約したという知らせに動揺してすぐにメソメソしてしまったダーシーをローガンも見かねて慰めてしまう,その優しさにダーシーもローガンを意識し始めるのですが,何せダーシーの父とローガンの母が結婚すれば二人は義兄と義妹になってしまう。勿論全く血のつながりは無いので問題はないのですが,二人の間に横たわるあれやこれやの問題の一つとなっていくのです。さて本作で圧倒的な存在感をもって後半登場するのがローガンたち従兄弟の祖父ヒュー・マクドナルドです。この祖父にも従兄弟たちにもローガンがダーシーに想いを寄せているのをすっかり見抜かれてしまうのです。もしダーシーが反対するなら二人の婚約は解消しようとローガンの母は一度はその話を持ち出すのですが,実際にマーガレット・フレイザーに会ってみてすっかりその人柄と父親と愛し合っていることを確認したダーシーは二人を祝福するようになるのでした。そんな流れにイマイチ乗り切れていかないのがローガンだけだったようです。ダーシー以外には自分が一生を共にする女性はいないといつローガンが気付き,そしてその気持ちをダーシーが受け入れるのか,希代のストーリーテラーである作者の術中にまさに気持ちよく嵌まっていける名作です。


タグ:イマージュ
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

貴婦人と背徳のワルツ [キャロル・モーティマー]

SHALOCKMEMO673
貴婦人と背徳のワルツ The Rogue's Disgraced Lady 2009」
キャロル・モーティマー 古沢 絵里






 セントクレア・シリーズの第3弾です。末の弟のセバスチャン。さらに長女で妹のアラベラはいますが,さすがに男兄弟の末っ子らしく,かなりやんちゃな感じがします。しかも今回のロマンスのお相手は未亡人のクレストウッド伯爵夫人ジュリエット・ボイド。しかも夫を殺したのではないかという社交界の噂付きの美貌の未亡人ですから,何かとスキャンダルの要素とにおいがぷんぷんしていますが,夫存命中から目をつけていたセバスチャンですから,こんなスキャンダルなど気にもとめずにがむしゃらにジュリエットに迫っていきます。全くスマートさがありませんし,甘えん坊の雰囲気がとてもよく出ていますが。
 国を裏切ったとされるスパイ容疑がかけられた未亡人に対する思いをセバスチャンがどう伝えていくか。そして容疑は本当なのか。最後に明かされる驚愕の真実とは。サスペンス色よりはロマンス色の強い作品になっているのは,ヒーローのキャラクターからかもしれません。


薔薇のレディと醜聞 [キャロル・モーティマー]

SHALOCKMEMO669
薔薇のレディと醜聞 The Rakes Wicked Proposal 2009」
キャロル・モーティマー 古沢絵里





 引き続き「セントクレア家の華やかな恋物語」を読みました。第2弾の本書はセントクレア家の次男,ルシアンがヒーローです。ワーテルローの戦いで自らは生き残ったものの,親友や部下の死を目の当たりにしたルシアンは,悪夢にうなされる毎晩が続いています。そのためすっかり社交界でも家族の中でも口数が少なくなり,公爵家の次男であるにも関わらず結婚はすっかりあきらめています。毎晩悪夢にうなされる夫など,誰も見向きもしないだろうとすっかり思い込んでいるために。
 そんなルシアンが戦死した親友の家族とある宿屋で遭遇します。そして,自分を責めようとしない親友の父親ジョージ・ウィンターとの会話で深酒をあおった彼が自分の部屋だと思って入り込んだのは,ウィンター家の姪,グレース・ヘザリントンの部屋でした。そこをジョージの妻マーガレットに出くわしたルシアンは,グレースの名誉を守るために結婚することにします。
 グレースにしてみれば,初めてであった男性とまともにはなしもしないうちに婚約を決められ,しかもそれは社交界での自分の名誉を守るためであり,男性は自分のことを愛してもいないのだと言うことに腹を立て,なんとか婚約を解消しようと考えます。そのため,いったんは承諾したように見せかけ,結婚式までの間に自分に愛想を尽かせて婚約解消に持って行きたいと考えたのでした。両親をそろって亡くし,叔父叔母の元に身を寄せるグレースですが,ウィンター家のジョージの弟フランシスは,グレースとの結婚を狙っていました。それは,グレースの持参金を当てにしていることは間違いないのですが,フランシスの人柄にほとほと嫌気がさしていたグレースは,ルシアンとの婚約はフランシスに自分をあきらめさせるにはいい方法だという思いも持っています。さらに,ルシアンとフランシスの上の兄ダリウスとは,幼少からの親友でした。ダリウスの妻は事故で亡くなってしまっていました。さらにジョージは持病の心臓の病で突然死してしまいます。次々にウィンター家を襲う災難に,グレースはダリウスが怪しいと考えるのですが。
 ルシアンとグレースの舌戦も見事です。いつしかグレースの夢を見るようになり,悪夢を忘れつつあったルシアンは自分がグレースに惹かれ始めていることには気づきますが,心の傷が癒えていないことから,素直に愛の言葉をいうことができません。グレースはルシアンの態度が自分を欲してはいるだろうが愛してはいないと思っています。二人の距離感が徐々に縮まっていく過程と,ウィンター家の災難の秘密が絡み合って,後半はロマサスの魅力が満載です。「どんなときも,そしていつまでも・・・」二人が交わす愛の言葉に思わずほんのりさせられる名作です。


鷹の公爵とシンデレラ [キャロル・モーティマー]

SHALOCKMEMO668
鷹の公爵とシンデレラ The Duke's Cinderella Bride 2009」
キャロル・モーティマー 古沢 絵里





 4月最初の読了本になりました。月半ばまで1冊も読了本が出なかったのは,やはり年度初めの忙しさのせいでしょうか。並行して読んでいる「香しい薔薇のベッド」の方も後半に入っていますが,なかなか読了には至っていません。
 さて,本書はキャロル・モーティマーのヒストリカルで,スタワーブリッジ公爵ホーク・セントクレア始めセントクレア一族の4兄妹がヒーロー,ヒロインになるシリーズの第1作。モーティマーと言えばコンテンポラリーというイメージですが,ヒストリカルを書かせてもやはり一流のストーリーテリングと人物造形の見事さ,さらにユーモアあふれる暖かい作風は,コンテンポラリーに負けず劣らずの見事さです。特に本書ではヒロインのジェーンの自分の出自が明らかでないことから,美貌や明晰さを鼻にかけず,しかもひたすら自分の誇りを失わず,一切卑屈にならない潔さに,思わず拍手を送りたくなる存在感のすばらしさが魅力です。次作「薔薇のレディと醜聞」も冒頭からわくわくする面白さを予感させる導入です。シリーズはすでに邦訳が出ていますので,読むのが楽しみです。


- | 次の10件 キャロル・モーティマー ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。