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奇跡を宿したナース [アリスン・ロバーツ]

SHALOCKMEMO1234
奇跡を宿したナース Definitely Daddy 2000」
アリスン・ロバーツ 小林ルミ子





 原題は「確実に父親」
 ヒロイン:ハリエット(ハリー)・マッキンレイ(35歳)/「コロネーション・ホスピタル」脊髄損傷専門病棟看護師/栗色の髪,青い目/フレディの母/
 ヒーロー:パトリック(パディ)・ミラー(40歳?)/「コロネーション・ホスピタル」脊髄損傷専門外科医/フレディの生物学上の父/
 通りがかりに出産を手伝った医師のパディが救った母親と男の子は,後にパディの勤務する病院の看護師だということがわかりました。その時パディは気付いていませんでしたが,取り上げた男の子は自分が精子提供して生まれた子供だったのです。母子共にかかわることになってしまったパディの愛の奇跡を追う物語です。まさしく邦題どおり,「奇跡を宿した」というストーリー展開です。ヒロインの年齢が35歳とロマンスのヒロインとしてはやや高いですが,パディから見るとハリーはまさに美しい女性。看護師としても頼りになり,病棟の患者やスタッフからも好かれています。しかし始めに出会ったとき,ハリーは夫を亡くした絶望のあまり,命を救ってくれたパディに少々投げやりな言葉をいくつか吐いたのでした。「生きることはもうどうでもいい」「この子の父親は誰かも分からない」その二言が決定的となり,パディはハリーのことを身持ちの悪い,しかも父親が誰かも分からない赤ん坊を生んだというふうに・・・。それが病棟で再会したときにパディがハリーに冷たく当たった態度に表れたのでした。しかし,あの悪夢のような出産の時のことをハリーはほとんど覚えていなかったのです。そのためパディに再会しても,どこかであったような気はするけれども,また声にはなんとなく聞き覚えがあるけれども果たして誰だったかは,わからないでいました。パディはもちろん忘れがたいあの時の女性だとハリーにすぐに気付いたのです。パディもまた数年前,自分が運転する車が交通事故に巻き込まれ,同乗していた妻と子供を失っていました。そのため,あの時取り上げた子供のことや命を失いかけていたハリーのことを気になっていたのです。ハリーの夫は登山の時の事故に遭い脊髄に重大な損傷を受けたて入院してきた男性でした。そして合併症で亡くなる前に二人は結婚し,ハリーは不妊治療によって名前を知らされない男性の精子によって妊娠していたのです。しかし夫はなくなり,父親の手助けを受けてフレディを2年間育ててきました。まだ言葉を正確に発音できず,「スティック」と「ディック」,「パディ」を「ダディ」と発音したために,様々な誤解を生むことになるのですが,元気で活発な明るい子に成長してきました。郊外の広大な敷地にある「城」とフレディが呼ぶ立派な邸宅の離れに親子三代3人で生活している様子を見たパディは,当初ハリーに抱いてきた身持ちの悪い女という印象が全くの誤解であることに気付いたのです。そして自分が精子を提供した病院と,ハリーが妊娠のために受けた精子提供の病院や時期から,フレディが自分の実の子であると確信したのでした。そして,実の子であるということよりも,自分はハリーに惹かれる気持ちがかつての妻以上であることに気づいたのです。しかしハリーはかつてパディが,事故で妻子を亡くしたことを聞かされ,パディが子供が欲しいために自分に近づいたのではないかと疑ってしまいます。しかも住んでいた家の持ち主がアメリカに移住することになり,屋敷を売りに出そうとしていることや,父が造園業の共同経営者の女性と愛を確かめ合ったことを聞き,家も父も可愛がっていた犬も,そして恋人のパディも全て失うかもしれないと悲嘆に暮れてしまうのでした。これ以上パディとの関係を続けられないと病院に辞表を出そうとしていたとき,パディは思い切った手を打ってハリーを説得しにかかるのでした。さて,その手段とは?
 あまりに都合のいい関係が出来ていくので,まぁこれはお話しだから,とは思いますが,純真なフレディの行動や,病院の患者たち,スタッフたちの温かい雰囲気に助けられ,癒やされる作品になっています。ヒーロー,ヒロインの容貌などがあまり明確に表現されていませんので,逆に想像力がかき立てられ,目の前にいるかのような錯覚を覚えるのは,作者の筆力によるものだと思います。ニュージーランド南島の大自然を舞台にしたオススメの作品です。


タグ:イマージュ
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