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見捨てられた女神 [サラ・モーガン]

SHALOCKMEMO1136
見捨てられた女神 The Midwife's Christmas Miracle
( Lakeside Mountain Rescue 5 ) 2006」
サラ・モーガン 森 香夏子





 「冷めた情熱(I-2387)」の続編。前作のヒロイン,クリスティもちょっと顔を出します。イギリス湖水地方の12月。産科専門医のジェイク・ブレラックウェルは山岳救助隊員。独りぼっちのクリスマスでも全く平気ですが,ちょっと山に出かけたとき,雪の中で一人震えている美しい女性に出会い,このままでは凍死してしまうと思い,救助することになります。自転車で近くまで来たという彼女はミランダ。冬山の装備などは何一つ持たず急激な天気の変化について行けずに立ち往生してしまったようです。そのまま自分のフラットでまず手当てをしてと思い車に自転車をくくりつけて自宅に連れて行きます。なぜかこれまで出会った女性とは少し異なったミランダに,ジェイクは欲望を止められませんでした。結局彼女の家まで送り届けようとするのですが,この当たりでと彼女は降りてしまい,ミランダという名前しかわからないままに別れてしまいます。翌日病院に運ばれてきた患者の手術を担当しようとしたとき,新しい助産師として紹介されたのがミランダでした。ミランダは一体何者?昨日は気付かなかったのですが,ミランダのお腹の中に新しい命が育っていることは明らかでした。自分のことは話そうとせず,なぜ昨日あんな山の中で一人でいたのかも話そうとしませんでした。しかし,有無を言わせず仕事を終えた彼女を車に乗せ,彼女のフラットにいってみると,とても狭く環境の悪い部屋。強引に自分のフラットに連れて行き,食事と休養を取らせることにします。この時すでにジェイクの頭の中にはミランダのことばかり浮かんでいる自分に驚きと守りたいという気持ちがわき上がってくるのでした。ミランダは母が16歳の時に生んだ,いわゆる望まれない子供でした。父親が誰かは知りません。そして継父との仲も悪く,高校卒業後は自立して自分の生活を支えてきたのです。愛を知らないまま大人になってしまったミランダ,自立心の大変強いミランダでした。その分,助産師として懸命に子供と母親を守ろうとする気持ちが強い様子が手に取るようにジェイクには見えるのでした。あの環境の悪い部屋では何かあっても対応できないと,ジェイクは自分のフラットの空き部屋にミランダを住まわせることにします。少しずつ過去を話し始めたミランダ。そしてジェイクは自分の子供ではないミランダのお腹の中の子供を含めて,ミランダを愛してしまったことに気付くのでした。
 恵まれない境遇に育ったミランダがジェイクによって愛と温かい環境に恵まれていくというシンデレラストーリーですが,母親譲りの美貌だけでなく,強い自立心と愛にあふれた素晴らしい人柄として描かれています。結婚願望のなかったジェイクがころっと惹かれてしまうのも分かる気がします。しかしなかなかジェイクのプロポーズを受け入れないミランダの背中を押していくのが,クリスティです。さらりとした登場のさせ方はとてもうまいですね。イマージュらしい作品です。


タグ:イマージュ
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プリンスの理想の花嫁探し [サンドラ・ハイアット]

SHALOCKMEMO1135
プリンスの理想の花嫁探し Lessons in Seduction
(サンフィリペ公国 3) 2011」
サンドラ・ハイアット さとう史緒





 シリーズ最終巻です。一人残った王位継承者アダムの心を射止めるのは誰? 冒頭から,結果が分かってしまいますが,これもロマンス作品の良さでしょう。安心して読み進められる点です。スリラーやミステリーのような謎解きのドキドキ感はありませんが,二人がどんな風に愛を育んでいくかという点ではドキドキが予想されます。さて,アダムの心を射止めたのは,王室の運転手の娘ダニエル・セトクレアです。愛称ダニ。通常はレーシングカー・レース(モナコ・グランプリのようなものでしょう)をサンフィリペに誘致するための会社で働いていますが,父親の仕事をちょっとお手伝いするアルバイトとして,かつては運転手も務めた経験がありました。王室の車の運転という重要な仕事ですから,もちろん許可証が必要なのですが,ダニはかつての経験でそれももっていたのです。老齢になった父親にかわり臨時にアダムのデートの場所まで送り迎えをすることになったダニ。しかし,アダムがなかなかデートの相手としっくりしていない様子を心配して,昔からの知り合いの立場でちょっと苦言を呈します。それが予想外の結果を生みました。恋愛苦手のアダムが,ダニにアドバイザーになってくれないかと言い出したのです。決して恋愛巧者ではないと一度は断ったものの,普通の女の子がデートに何を求めてくるかという点では助言できるし,デートにスーツを着ていこうとするアダムの堅苦しさに黙っていられず,仕方なくその役を務めることになるのでした。そして,逆にデートがうまくいったと喜ぶアダムを見て,少し胸の痛みを感じるダニでもありました。週末,スキー・デートをするために近くの山にアダムを送っていこうとしたダニ。しかし,雪が激しくなり,デートの相手も来れなくなってしまい,二人も山から下りられなくなってしまいます。偶然見つけて入った小さな宿。そしてその宿の支配人も臨時雇いで困り切っている様子。しかもシェフも病気とあって,なにかと気を遣う宿でしたが,オーストラリア出身らしい言葉遣いの支配人のおおらかな態度と,王位継承者であることを気づかれていないという安心感で,結局二人は2泊することになってしまいます。そして雪がやんだ日,二人は一日中スキーを楽しんで,再び宿を訪れるのでした。この数日で二人の距離はすっかり縮まり,将来はないけれど互いに愛していることを気付くのでした。王子と運転手の娘。この身分の違いが二人の将来の障害になることは二人とも分かっています。宮殿に着くやダニはそそくさと運転手としての顔に戻りますが,アダムの方はなかなかその区切りを付けられないでいます。そして,父王とアダムは究極の話し合いをし・・・。やがて第1作で恋に落ちたレベッカとローガンのロイヤルウエディングの日がやってきます。すでにラスベガスで結婚したレイフとレクシーもまた愛らしいベビーとともに幸せな様子。父のアンリ・オーガスタス・マルコーニ大公の思惑どおり,あっという間に二人の王子と王女が愛する人を見つけゴールインしたサンフィリペ公国のめでたしめでたしで幕を閉じます。2011年50歳を迎えないまま急逝したサンドラ・ハイアットの新作は読めませんが,ロマンスの王道を行く彼女の作品の安定感は抜群だと思います。


タグ:ディザイア
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