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億万長者の罪な嘘 [キャロル・マリネッリ]

SHALOCKMEMO1436
億万長者の罪な嘘 Di Sione's Innocent Conquest
(ディ・シオーネの宝石たち 1) 2016」
キャロル・マリネッリ みずきみずこ





 原題は「ディ・シオーネの純潔征服」
 ヒロイン:アビー・エリソン(27歳)/レーシング・チーム「」オーナー/グリーンの瞳,濃いまつげ/
 ヒーロー:マッテオ・ディ・シオーネ(歳)/ヘッジファンド経営者/濃いブルーの瞳/
 祖父の大切な首飾りを取り戻すためにアビーに近づいたマッテオですが,当初からアビーを戦略的に誘惑しようとしていたにもかかわらず,本気で惹かれてしまっていたのです。まさにミイラ取りがミイラに状態。その首飾りは数人の手を経てアビーの父から母に,そして形見としてアビーに渡ったものでした。アビーのチューンアップした車を中心としたレーシングチームで今年のグランプリを賭けた試合である程度の成績を残さなければもはや資金は底をついてしまうところまで来ています。出資者としてやってきたマッテオに,チームへの忠誠とマッテオからの誘惑との間で気持ちが揺れますが,アビーは頑なに自分を守っていきます。それはかつて他者のドライバー,ハンターに誘惑されそして暴行されそうになった経験を持っていたからでした。一方マッテオは貧しい中からたたき上げてきた富豪。「アビーにはもっとふさわしい相手が必要だ。恋愛できる相手が。血筋から見て僕は失格だ。」それに対してアビーは「わたしを避ける必要はないわ。あなたがわたしを興奮させるのは確かだけれど,わたしはあなたと一線を越えたいとは思っていないんですもの。」と言い切ります。母を裏切った父の性格を受け継いでいると思い込んでいるマッテオはアビーを大切にしたいと考えていたのでした。「偽りも,約束も要らない。この大切な瞬間だけでいい。」とアビーはマッテオの腕の中に飛び込むのですが・・・。そして思いもかけないレースでの勝利。ついにハンターに恥をかかせることができたアビーたちですが,ついに首飾りの秘密を聞いてしまったアビーは,マッテオにもまた裏切られたことを知り,エピローグに向かいます。マッテオはアビーを守り切ることができるのでしょうか。
 レーシングチームの技術者という変わり種ヒロインが男の世界で活躍する熱いロマンスです。シリーズ第1作ですが,この後どんなヒーロー,ヒロインが登場してくるのか楽しみなシリーズです。


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過去を捨てた億万長者 [キャロル・マリネッリ]

SHALOCKMEMO1416
過去を捨てた億万長者 Billionaire Without a Past
( Irresistible Russian Tycoons 3 ) 2016」
キャロル・マリネッリ 山本翔子





 原題はそのまま
 ヒロイン:レイチェル・ケアリー(32歳)/元バレエダンサー/赤みがかった金色のまつげ,緑色の目,前歯に隙間,燃えるような赤毛,身長170センチで長く白い脚/
 ヒーロー:ニコライ・エリストフ(31歳)/海運業者/黒い髪,白っぽい肌,焦茶色の目,身長185センチ/
 「大富豪の約束なき情熱(SHALOCKMEMO1321)」「悲しみの白い薔薇(SHALOCKMEMO1340)」の翻訳出版からちょっと間が開いて第3作目の「氷の掟」シリーズの第3巻が出ました。おそらく4部作になるであろうシリーズですが,キーパーソンになるアーニャとローマンはいよいよ最終巻の登場となるのでしょうか。(「Return of the Untamed Billionaire」はすでに原作が出ています。)
 ロシアの養護施設で育った4人の若者をヒーローとした本シリーズですが,本作のヒロイン,レイチェルは第1作のヒロイン,リビーの親友で,やはりバレエダンサーです。そして大プリマドンナ,アーニャ・イリューシンに憧れていますが,年齢的にももうプリマになる夢はたたれているようです。親友リビーも出産間近,第2作のヒーロー,ヒロインのセブとナオミの結婚式の時には臨月を迎えているリビーに付き添っています。そこに長らく連絡の取れていなかったニコライがやって来ます。ニコライをなんとか仲間たちとうまくいくように,さらにはリビーの出産もうまくいくようにと何かと気を遣うレイチェルは,もうその時点でやさしく愛情深い人柄であることがわかります。そしてニコライを見た途端,そのすばらしい容姿にぐっと惹かれてしまうのでした。しかしそんなレイチェルの悩みは仕事上のことより,恋人だったアンドレが,自分の従姉妹(母の妹の娘)ショナと結婚しようとしていることでした。常に男性に頼って生きてきた母の様になるまいとバレエに明け暮れてきたレイチェルですが,そのレッスン代を負担してくれたのは母の何度目かの恋人でした。しかもレイチェルには誰にも言えない秘密を抱えていたのです。その何度目かの恋人が自分にDV行為をし続けていたのでした。そしてそれを母にも言えず,じっと耐えることしかできなかった悔しさを今でも引きずっています。明かりを付けたままでなければ眠れない。男性との行為にも必ず恐怖が先に立ってしまう。勿論恋人のアンドレにもそのことを告げることはできませんでした。いつになっても親密な行為を許してくれない自分に嫌気がさしてアンドレは従姉妹のショナに走ってしまったのです。しかも結婚式が数週間に迫っているのに,アンドレは相変わらず自分とコンタクトを取ろうとするのです。
 一方ニコライは,シリーズの前の巻でも明らかになっているように学校の教師から性的暴行を受け,川に身を投げて自殺したと思われていました。しかし死んだのは別の人で,ニコライはその後できるだけ学校から遠く離れようとウラジオストックまで逃げ続け,そこで密航した船の船長ユーリに実の息子以上に可愛がられ,航海術から船に関することすべてを学び,次々に資格を手にして船長にまで上り詰め,現在の富を蓄えることができたのでした。その恩人ユーリも亡くなり,豪華なクルーズ船を家として世界中を飛び回っていたのでした。ニコライもまた結婚式で自分に気安く話しかけて,自分の過去のことも仲間から聞いていて全く気にしていないレイチェルの美しさと冗談を言い合える気安さにすっかり惹かれてしまいます。
 互いに幼少の頃性的暴行を強要され,そのことで正常な男女関係を結べないでいる二人が,その経験から相手のことを本当に思いやることができる素晴らしい関係になっていくまでの見事な成長譚が繰り広げられます。過去を乗り越え,将来を思うことができるまでの二人の心の交流と成長がしっかりと描かれた傑作です。


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オアシスの愛と砂漠の掟 [キャロル・マリネッリ]

SHALOCKMEMO1344
オアシスの愛と砂漠の掟 Beholden to the Throne 2013」
キャロル・マリネッリ 柴田礼子





 原題は「玉座への義務」
 ヒロイン:エイミー・バネスター(?歳)/アルザン王室付きナニー/ブロンドの巻き毛/
 ヒーロー:シーク・アミール(?歳)/アルザン国王/180センチ超の身長,肩幅が広く肌が浅黒い,黒い瞳,目の上に傷/
 双子国アルザンとアルジルズ。かつて一つの王家だったものが代々双子が産まれ,ある時点でそれぞれが国を継承することになります。しかし,一方が継承者がいなければ他方がもう一方を吸収することになるのです。現在のそれぞれの王家はアルザン国のアミールとアルジルズ国のラカールによって支配されているのですが,アミールの王妃は双子の女子を出産したのち亡くなってしまいます。ラカールの妻ナターシャ王妃は丁度臨月で,作品終盤でついに男児を出産するのです。アルジルズ国の法律では女子でも王位を継承できるのですが,アルザン国の法律は王位を継げるのは男児のみ。いずれアルザン国はアルジルズ国のもとに吸収されてしまうことになるのでした。アミールの王妃ハンナの死から一年が経ちます。アミールは双子の娘クレミラとナキアのナニーであるエイミーというイギリス娘と恋仲になってしまうのですが,それは双子の娘たちが物心つく前に母親であるハンナ王妃が亡くなってしまい,ナニーであるエイミーを母親と思ってしまっていることや,砂漠の掟に従わず,イギリス流になにかと自分の命令に反抗してくるエイミーの態度に,新鮮さを感じてしまうからでした。しかし運命は皮肉です。エイミーはかつて落馬して馬に踏まれてしまい,首に傷跡が残ったばかりでなく子供が産めない身体になってしまっていたからです。エイミーもまたアミールを愛してしまうのですが,アミールと結婚しても,自分は男子を産むことができないという事実に苦しみます。それでもなんとか砂漠の掟を乗り越えようと,帰国してしまったエイミーを迎えに行って結婚式までこぎ着けようとしたアミールですが,式当日,妊娠出来ない事実を隠したまま結婚すれば多くの人を騙すことになることに耐えられなくなったエイミーは気を失ってしまい・・・。
 過酷な砂漠の予言と運命に翻弄される王とナニーのロマンスです。次々と予想外の展開が現れ二人の人生をめまぐるしく変化させていく面白さに,一気読み間違いなしのシークものです。MB版の表紙のエイミーのモデルさんの,まるで中世の女闘士のようなブロンドで細身ながらも堂々とした姿,豊かな胸ときりっとした顔立ちとグレーの瞳に間違いなく惹かれるNICE_HEROINEです。


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悲しみの白い薔薇 [キャロル・マリネッリ]

SHALOCKMEMO1340
悲しみの白い薔薇 The Cost of the Forbidden
(氷の掟 2) 2015」
キャロル・マリネッリ 山科みずき





 原題は「禁じられた代価」
 ヒロイン:ナオミ・ジョンソン(25歳)/個人秘書/濃茶色の髪,ふっくらした唇,丸い頬,濃茶の瞳,フローラル系の香り/
 ヒーロー:セバスチャン(セヴ)・デルジャーヴィン(歳)/IT専門家/ブラウン(灰黒色)の瞳,黒髪,白い肌,長い脚/
 「大富豪の約束なき情熱(SHALOCKMEMO1321)に続く,キャロル・マリネッリの「氷の掟」シリーズの第2弾でロシアの養護施設で育った兄弟同然の4人の同士たちのシリーズです。前作のヒーロー,ダニールとヒロインのリビーは結婚し,二人の子供がまもなく産まれようとしています。本作では,この二人の他に,ヒーロー,セヴの私的にも仕事的にも親しい友人シーク・アレムとジャマール夫妻という魅力的なカップルも登場します。この二人のロマンスもそのうちシリーズの中に入るかもしれませんね。ヒーロー,セヴの家族関係についても登場しますが,ヒロイン,ナオミの家族関係もちょっと複雑なようです。父親は後妻を迎え,異母妹たちとの関係はすこぶるよいのですが,両親との関係はよくありません。実父アンダーソン・アンダーソン(姓名が同じ)に無視され,なんとか父に自分に振り向いて欲しいと願う娘のナオミは,時折実家にプレゼントをたくさんかかえて帰るのですが,留守番や家事を頼まれるだけで,体の良い家政婦のように扱われ,あまつさえ父の50歳の誕生パーティにすら呼ばれないという状況です。そしてもちろんヒーロー,セヴもまた親に捨てられて養護施設で育ち,母親と姉には見向きもされていません。さらには養護施設時代の親友ニコライの命を救うことができなかったという罪悪感をずっと抱えて生きています。11月12日のバッキンガム宮殿での再会を願いつつ・・・。
 さて,本作は個人秘書募集にナオミが応募してきたところから始まります。当初はセヴに気に入られなかったナオミですが,現秘書が書き置きを残して去ってしまったことから,謂わば仕方なく(それでももう一人の秘書候補がいたのですが)破格の待遇でナオミを雇うことになります。24時間体制ですべての時間を雇い主のために費やす覚悟で務めなければならないこの仕事。その見返りとしての給与やボーナスは数ヶ月で一財産になろうかという金額。しかも衣装準備費から住まいまで提供されるという。なんとか蓄財して父に認めてもらおうとするナオミにとっては,願ってもない条件ですが,現在アンドルーというフィアンセと婚約中の身。そんな長時間にわたる勤務に耐えられるだろうかという不安と裏腹に,ボスとしてのセヴに男性としての魅力を感じ,強く引きつけられながら仕事を優先しなければという板挟みにも苦しみます。何かと出張で自家用機で世界中を飛び回るセヴに同行しなければならないことも負担です。しかし,ナオミは見事にボスの要求に応えていきます。そしてアンドルーとの婚約を解消してしまうのでした。もはやアンドルーには魅力を感じなくなっていたからです。もともと父に認めてもらおうと生活の安定のために無理やり承諾した婚約でしたから,それっきり連絡も取らずにいます。終盤,このアンドルーが登場し事件を起こすのですが,それでナオミの気持ちが変わるわけではありませんでした。邦題の「白い薔薇」は,セヴが女性との交際に飽きてしまい,別れるときに秘書であるナオミがセヴの指示で相手女性に送るものです。個人秘書だけにボスの私生活も含めてすべてのことに気を配らなければなりません。仕事の内容は多岐にわたるようです。それでもその要求に応えられるだけの素晴らしい能力にナオミは恵まれていたようです。しかし当初の契約の3カ月をなんとか乗り切り,シーク夫妻の要請でドバイを訪れたとき,ナオミはセヴに辞表を出します。セヴは引き留めもせずに辞表を受け取り,後任の個人秘書の人選を指示するだけでした。この後はロンドンに立ち寄る予定でしたから,そこでナオミは元の生活に戻るつもりでした。二人の間にある男女の感情の火花をみてとったセヴの友人でもあるシーク夫妻は,一計を案じ,ドバイでの仕事の合間に二人が休暇を過ごしつつ互いの気持ちに気付かせようとします。この地を去ったのちは後腐れなく別れることになり,二人は思い出づくりに目眩く時間を過ごします。そしてロンドン。この地での目的をセヴは誰にも言わないでいます。11月12日のバッキンガム宮殿前。その話しをナオミにだけは話すセヴでした。ところがロンドンの空港でいきなりアンドルーが現れ,セヴにパンチを浴びせます。セヴは数分間気絶してしまい,ナオミは自分のせいだとセヴの介護をするのでした。これが最後の秘書としての仕事・・・。さて二人の関係はこれで終わるのでしょうか,さらにナオミと両親の関係は?またセヴと家族の関係は・・・。
 シリーズの中核でもある4人の養護施設仲間の動向も描かれます。前作の主役のダニールとリビーもセヴとナオミの二人の関係にかかわりハッピーエンドを迎えるのですが,次作(原作が2016年5月刊)への予告めいたローマンとアーニャ,そして謎のニコライも登場し,エピローグは締めくくられます。


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大富豪の約束なき情熱(ネタバレあり注意) [キャロル・マリネッリ]

SHALOCKMEMO1321
大富豪の約束なき情熱 The Prince of His Redemption
(氷の掟 1) 2015」
キャロル・マリネッリ 山本翔子





 原題は「贖いの値段」
 ヒロイン:エリザベス(リビー)・テネント(25歳)/元バレリーナ/160センチに満たない小柄な体,青い目/
 ヒーロー:ダニール・ツヴェレフ(ダニエル・トーマス)(30歳)/経営コンサルタント/焦げ茶色の髪,濃い灰色の目,白い肌,左頬に赤みがかった傷跡/
 ロシアの養護施設で育った兄弟同然の4人の同士たちのシリーズです。うち一人の亡くなってしまっていますので,3部作になるのでしょうか。双子の兄弟ダニールとローマン,そしてマーカス,セバスチャン(セヴ)の4人です。来月発売の「悲しみの白い薔薇(R-3190)」ではセバスチャンがヒーローになるようです。ローマンの物語が最終話となるのでしょうか。本作の冒頭で双子なのにダニールとローマンはボクシングの試合をして互いに冷たい関係が示されていますので,最終話は和解の物語になるのかもしれません。珍しいことにMB版では表紙に男性モデルだけ示されていますので,HQ版の表紙も併せてリンクしておきました。こちらはストーリー上重要な階段にたたずむ二人の姿が描かれていますので,なるほどと思わせる表紙です。
 さて,怪我のためプロのバレリーナへの夢を捨て,バレエ教室を立ち上げようとしていたリビーは,父のイベント会社の大口の契約者リチャードとキャサリンのトーマス夫妻からの結婚40周年記念パーティへ養子のダニール(ダニエル)の出席とスピーチを求めるために,ダニールの会社に向かいます。メイフェア地区にあるビルの下の受付からダニールの部屋に至るまでにいくつかの関門を無事突破しながらやっとの思いで彼の部屋にたどり着いたリビーですが,すげなくダニールに要求を拒否されてしまうのでした。しかしこのときリビーはダニールの圧倒的な男性的魅力に気付くのでした。養父母との確執は30歳になる現在までも解消されておらず,自分をなくなった息子ダニエルの身代わりとしてしか考えていない養父母の支援を受けずに自力でここまで上り詰めたダニールですが,結婚執念記念パーティこそ,もっとも出席したくないものだったのです。女性関係も最長で2週間しか続いたことのないダニール。何故かリビーの存在が気になり,しかも自分を笑わせてくれるリビーの頼みを聞き入れてみようとします。そのことをリビーに話すと,特に喜ぶ様子もなく,ダニールの出自や過去養父母から受けた苦しみに同情さえしてくれるリビーに,一緒に出席してくれるよう頼みます。その後,「火の鳥」の講演に誘ったダニール。今度はリビーの苦しみを知ることになります。そして公演後にプリマを務めた女性がダニールの養護施設時代の知り合いで,自分を双子のローマンと勘違いした事情を知ることなく,嫉妬に囚われ,ダニールを愛してしまったことに気付くのでした。そして互いにこれまで他人にはほとんど話したことのない過去の傷を二人は次々に打ち明け,互いの傷を乗り越えるようとするのでした。(ここから先ネタバレがあります)

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メイドを拾った億万長者 [キャロル・マリネッリ]

SHALOCKMEMO1286
メイドを拾った億万長者 His Sicilian Cinderella
( Playboy's of Sicily 3 ) 2015」
キャロル・マリネッリ 漆原 麗





 原題は「彼のシチリアのシンデレラ」
 ヒロイン:ベラ・ガッティ(23歳)/ホテルのメイド,デザイナー/黒い髪に緑の瞳/
 ヒーロー:マッテオ・サンティーニ(?歳)/実業家/黒い髪,ダークグレーの瞳/
 「涙のエンゲージリング(SHALOCKMEMO1179)」「メイドが愛した億万長者(SHALOCKMEMO1204)」に続く,シリーズ最終巻。イタリアの熱い物語がはじけます。幼なじみで美貌のベラと親友のソフィー,そしてヒーローのマッテオと親友のルカ,この二組の恋人同士のロマンスを描いた秀作です。ルカの父でシチリア西部の町ボルド・デル・チェーロのボス,マルヴォリオが遂に亡くなります。それまでこの街はマルヴォリオによって支配され,ベラの両親もこのボスによって人生を支配されてきました。ボスに逆らうことはすなわち死を意味します。まさに血の誓いによって支配された金と欲と血の関係。そんな生々しい関係の中で翻弄されるベラの人生。優れたデザイン感覚を持ちながらホテルのメイドでしかいられないのは,ベラの父がマルヴォリオの右腕であり,さらに母は身を売るしか生きるすべがないという悲惨な状況にあったからでした。5年前,まだ少年少女だったベラとマッテオは恋人同士になりますが,周囲の人々から蔑まれ,母を捨てることが出来ないベラはマッテオが島から逃れてローマに行こうと誘われたにもかかわらず,マッテオについて行くことは出来ませんでした。それをマッテオは自分がベラに捨てられたと思い込んでしまいます。しかしベラを忘れることは出来ませんでした。今はまっとうな実業家として成功したマッテオに対し,ベラは相変わらずホテルのメイドに甘んじていなければならなかったのです。その母も亡くなり,やっとのことでマルヴォリオが亡くなり,その支配下から逃れることができても,町ではいつも蔑まれた生活を送らざるを得ないベラでした。しかし親友のソフィーとルカの結婚式にベラは自分の才能の限りをつくしてウェディングドレスを縫い上げます。ボスに支配されていた人々がマルヴォリオの死により解放され,ルカとソフィーの結婚式はその最初で最大のイベントとなりました。そしてそこで再燃するマッテオとベラの関係。マッテオの熱い視線,ベラもまた今の自分の状況から逃れるためにマッテオの重荷になりたくないという最後のプライドからマッテオの誘いを断っていくのですが・・・。
 自分のせいでなく,生きるためには究極の選択をせざるを得なかった二人の美しくも儚い愛の軌跡を,熱いシチリアの空気の中で歌い上げた,まるでゴッドファーザーのような作品です。でも,あそこまで凄惨ではないところがロマンス小説らしさでしょうね。


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メイドが愛した億万長者 [キャロル・マリネッリ]

SHALOCKMEMO1204
メイドが愛した億万長者 Sicilian's Shock Proposal
( Playboy's of Sicily 2 ) 2015」
キャロル・マリネッリ 井上絵里





 原題は「シチリア人の衝撃的求婚」
 舞台:ロンドン,シチリア島ボルド・デル・チエーロ(天国の縁)
 ヒロイン:ソフィー・デュランテ/ローマのフィシェラ・ホテルのメイド/長い黒髪,濃い茶色の瞳
 ヒーロー:ルカ・カヴァリエーレ/実業家/ネイビーブルーの目
 裕福な資産家で町全体を支配していると言ってもいいほど財力と権力を持つ父マルヴォリオの一人息子のルカ・カヴァリエーレですが,父親が妖しげな事業にかかわったり,あまりにも自分が支配的に町の人たちや息子に当たることを嫌い,自力で事業を興して成功しています。少女のころからそのルカに憧れ,親同士が婚約を決めた相手の娘ソフィーは,18歳のころには,美しい女性に成長しています。しかしロンドンで事業を成功させたルカにはソフィーとの結婚は親の言いなりになることを意味していました。そのためソフィーがロンドンの自分のオフィスを訪ねてきたとき,ルカはソフィーに婚約解消を申し出るつもりでいたのです。ソフィーにはクルーズ船で働いてみたいという夢がありましたが,今はしがないホテルのメイドをしています。「僕はロンドンで暮らしている。僕が付き合う相手はモデルや洗練された美女ばかりだ。親が結婚を決めた田舎娘に出番はない」という言葉をルカが父親に話しているのを聴いてしまったソフィー。ルカがそう言うのは,ルカが島を離れるときにソフィーに一緒にロンドンに行こうと誘ったにもかかわらず,ソフィーはついてこなかったことで,裏切られたという気持ちをソフィーに対して抱き続けてきたからでした。しかし当時まだソフィーは少女であり,親の庇護の元を離れることには躊躇する気持ちがあったのでした。その後ルカのロンドンの居場所がつかめず,ローマ市内の狭いフラットに友人のベラと住みながらメイド生活を続けていたのですが,刑務所に収監中の父の先が長くないことを知り,父の希望であるルカとの結婚を心待ちにしている様子を見かねてロンドンを訪れたのでした。しかし,ソフィーの父が収監されることになったシチリア島での放火事件の裁判で,カヴァリエーレ家の雇った弁護士は親子が無罪になり,ソフィーの父の単独犯であるかのように裁判を誘導し,結局父だけが罪を得て43年の刑を受けたことで,ソフィーはルカとその父を恨み続ける気持ちも抱き続けています。家同士の確執,そして再開した瞬間から互いに惹かれる気持ちを抱き合う二人の,まさしくロミオとジュリエット風なねじれた愛の行方はどうなるのか,それが本作の読みどころです。先の長くない父の夢を叶えてあげたいソフィーはルカに婚約が継続中であることを見せたいとルカに頼み込むのですが・・・。
 前作の「涙のエンゲージリング(SHALOCKMEMO1179)」でも,結婚に結びつくまでの二人の長い旅路が描かれますが,本作でも紆余曲折が続き,しかも数年前の事件の真相が次第に明らかになっていくというロマサス的要素も加わり,ちょっと複雑な内容になっています。それにしても,本作の魅力はなんといっても激情的で誇り高いシチリア娘ソフィーの人物造型でしょう。「わたしは気が強くて癇癪持ちだけれど,愛する人から別れを告げられたらその言葉には素直に従う」と宣言するだけのことはあり,なかなか一筋縄ではいかない女性です。そして「あなたもお父さんに似ているけれど,あなたはお父さんとは全く違う人だわ。あなたは傲慢で頭が切れる」とルカを評していることからして,以外とこの二人の相性は互いを補いつつ,ソフィーの父が評したようにベストカップルなのかもしれません。
 ハーレクイン・ロマンスも,この4月刊から表紙や体裁が変わり,これまでの黄色からイマージュの色だった白が基調の,上品にあしらわれた装丁になっています。素敵な装丁ですね。


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明かせぬ愛の明かし [キャロル・マリネッリ]

SHALOCKMEMO1201
明かせぬ愛の証 One Night in Emergency
( A & E Drama 14 ) 2004」
キャロル・マリネッリ 藤崎香里





 原題は「救急科の一夜」
 舞台:メルボルン
 ヒロイン:エレノア・ルイス(23歳)/メルボルン・セントラル病院救急科の看護師/ブロンドの髪,ブルー(青磁色)の瞳,薔薇のつぼみを思わせる唇,女性らしいシルエット,身長160センチ弱
 ヒーロー:ローリー・ハンター(35歳)/メルボルン・セントラル病院救急科の専門医/190センチを超える身長,ダークブロンドの髪。
 美しいが故の悲劇。メルボルンの大病院の救急科に転院してきた看護師エレノアは,美貌に優れているゆえに,前の病院では看護師長のリタにおつむの弱い,医者との関係だけを狙っている女性と思われ,仕事上の能力を認められないことに嫌気がさし,転院を申し出てきたのでした。勤務の初日はゲイの男性派遣看護師ピエールや看護師長メアリとの笑えないやりとりがあり,それでも前向きに仕事に励もうとします。その結果,病院の専門医ローリーを酔った患者と間違え,大げさな治療をしてしまうというミスを犯してしまうのでした。この状況も結構面白い場面ですが,その翌朝からエレノアが失敗が救急科全体の噂となってしまい,逆にローリーがエレノアを気遣っていくという思いがけない結果になっていきます。その後,94歳の老嬢の最期を看取ったり,乳幼児の突然死を担当したりと,仕事の中で傷つくことの多い救急科の日常が描かれます。そして,突然死した1歳半の赤ん坊の担当で疲れ切った夜,ローリーに慰められたエレノアは,一夜を共にしてしまいます。美人看護師と女性ならだれしも狙おうとする美形の専門医との関係。これは,院内では常に噂になり,エレノアの方が働きにくくなることは必至でした。「愛は放っておくと生煮えになる。愛はほおっておいても煮こぼれないこともある。愛は放っておくと焦げついて真っ黒なしつこい汚れとなり,それを落とすのは容易ではない。」という名言がエレノアの心に巣くいます。ローリーはエレノアの看護師としてのキャリアをふいにしたくなくてわざと冷たい態度を取るのですが,ローリーを愛してしまい,ローリーの子どもを身ごもってしまったエレノアにとっては,もはやこの病院ではやっていけないと辞表を看護師長のメアリーに提出するのでした。最後の勤務だと思っていたとき,薬物中毒の患者ポール・ランにローリーやメアリーが冷たい態度を取るのを見過ごせなくなったエレノアは,できるだけポールの意に沿うようにするのでした。ところが鎮痛剤を薬品室に取りに行ったエレノアの後をついて行ったポールに監禁され,しかもメスで刺されてしまいます。この事件をきっかけに,妊娠とローリーとの関係を知られてしまったエレノアですが・・・。
 人情に厚い熱血看護師と救急専門医,そして救急科のスタッフたちとの暖かい交流が見事に描かれ,ドラマチックな展開が描かれた秀作です。MB版の表紙ではエレノアの様子が分かりづらいですがHQ_MD-ROM版の表紙では,エレノアの美貌がよく分かり,エレノアを愛してしまうローリーの気持ちがうかがえるイメージになっています。SHALOCKMEMO1200を数え,次の100冊,SHALOCKMEMO1201にふさわしい作品となりました。


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一夜に賭けた家なき子 [キャロル・マリネッリ]

SHALOCKMEMO1078
一夜に賭けた家なき子 Princess's Secret Baby
 ホテル・チャッツフィールド 11) 2015」
キャロル・マリネッリ 山本翔子





始めに作者キャロル・マリネッリの作者プロフィールですが,「イギリスで看護教育を受け,救急外来に長年勤務」とあります。その後「バックパックを背負っての旅行中に」夫君と出会い,「オーストラリアに移り住」み,「彼女にとって第二の故郷」となっているそうです。本シリーズでは,チャッツフィールド・ホテルが世界各地にあり,それぞれの国民性や風景が生かされている感じがありますが,どの作品でも上流階級とそうでない人々という階層の違いが生活の違いに表れ,国境や民族という縦の分かれ目とは異なり,いわゆる横の分かれ目とも言うべき血筋や財力と権力が結びつき,持てるものが必ずしも幸せまで手に入れるわけではなく,家族や日常を大切にする普通の人々の暮らしが幸せに結びつくという構図があるように思います。バックパッカーとしての作者の経験が,このようなストーリーに生かされているようにも感じました。本作の終盤にヒーローのジェームズ・チャッツフィールドとヒロインのスルハーディ国王女レイラ・アル=アルマルが「世界一小さな結婚式」を挙げる場面が出てきます。ニューヨークのセントラルパークにある何の変哲もないベンチで挙げられた結婚式。「ジョギングをしている人たちを捕まえて式の立ち会いを頼むと,みんな喜んで応じてくれた。簡素だけれど,二人には何より大切な結婚式だった。」その日はレイラの臨月であり,なかなかこの世に顔を出そうとしない赤ん坊も強くお腹を蹴るような日でした。投資家で富豪のジェームズ,王女のレイラという世の人のうらやむ社会的地位のある二人がなぜこのような簡素な結婚式を挙げることになったのか。共通点は二人とも両親から認められず,特にヒロインの母は亡くなったレイラの姉のジャスミンとレイラをことごとく比較しては生き残ったレイラを冷遇し,一度も自分の子供に触れたことがないほど,そして自分の子供はジャスミン一人であり,替わりにお前が死ねば良かったと言い放つほどレイラを憎んでいたのです。つまり愛を知らずに,愛されることを知らずに24歳まで生きてきたレイラ。次々と異なる女性に子供を産ませ,愛情を注ごうとしなかった父マイケル・チャッツフィールドに反抗し,家業を手伝おうとしないジェームズもまた親から見放された存在だったのです。心の底では親に認めて欲しい,愛して欲しいと願いながら大人になる現在まで,どんなに努力しても果たせなかった二人が,親となり,二人の子供には深い愛情を注いでいきたいと願って結びついていくことは,本作の大きなテーマです。小太りだった少女時代を過ぎ,ジェームズから見ると絶世の美女に思えるレイラ。この「醜いアヒルの子」的なレイラがハヌマーンという民族楽器を伴奏に美しくも心揺さぶる歌を歌う,そしてレストランでの演奏が最終日になる夜にジェームズが演奏を見に行き,心から感動を覚えるシーンや,ホテル住まいでスタッフたちに王女然としてきつく当たっていたレイラがジェームズの影響で少しずつ感謝の言葉を言い添えるように変化していく姿などに,次第に人間らしく人を大切にする気持ちを理解していくレイラの成長にジェームズの愛が大きくかかわっていくところなど,ヒューマンな作品に仕上がっています。悩めるレイラに向けてジャームズが掛けた言葉「君のお母さんは悪い女王なんだ。邪悪な女王だ。娘が産まれたら,ぼくはこのおとぎ話を聞かせてあげるつもりだ。そして君が望まない限り,君は二度と邪悪な女王の声を聞かなくてもいいし,顔も見なくていい。」はレイラを大切に思うジェームズの真心がこもった言葉で,後にレイラも「両親のことは本当にもうどうでもいいの。今の私にはれっきとした家族がいるんですもの。」と言い切れるように心が満たされていきます。そして生まれてきた二人の子供にどんな名前を付けるかが,本作の本当の意味でのキーワードになっていきます。そして邦題の「一夜に賭けた家なき子」は原題の「王女の秘密の赤ちゃん」よりは,童話をイメージさせるいいタイトルだと思います。


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情事の花園 [キャロル・マリネッリ]

SHALOCKMEMO1041
情事の花園 Wanted : Mistress and Mother
Ruthless 6) 2006」
キャロル・マリネッリ 松尾当子





“Ruthless!”シリーズの未訳最終巻になります。原題は「求む!愛人と母親」。本作のキーワードは「ジャスミン」。庭園デザイナー,マチルダ・ハミルトンはヒュー・ケラーの依頼を受けて,ヒューの義理の息子ダンテ・コステッロの家の庭の改装を頼まれます。マチルダの次の仕事までの2週間の休暇を利用して。オーストラリアでの季節感は北半球とは異なりますが,結構暑い時期だったので冬だったのでしょう。ダンテの妻ジャスミンは運転中の事故で亡くなり,同乗していた一粒種の娘アレックスは奇跡的に命に別状はなかったものの精神的に被害を受け,口をきかなくなるとともに時折激しい発作に陥り周囲の人々を困惑させる状態になっていました。ダンテの義母のカトリーナは自分の娘のジャスミンを偶像化し,ダンテとさも愛し合っていて亡くなった後もダンテが他の女性と深い関係になることを許さなくなっていました。数度の軽いキスでマチルダはすっかりダンテの虜になってしまいますが,再婚はしないというダンテの言葉に傷つけられ,元恋人のエドワードに魅力のない女と蔑まれたことがトラウマになっていたのでした。庭の改装が完成に近づいたときダンテとマチルダは一夜を共にしますが,夜半にアレックスがダンテの部屋にやってきて,その後落ち着いたと思ったら翌朝行方不明になってしまったのです。幸い警察によって海辺を彷徨っていたところを発見されたのですがダンテはマチルダにすぐに家を出て行ってくれと強く言われ,傷心のうちに帰宅したのでした。何日もダンテからの連絡がなく,アレックスがその後どうなったのかすら教えてもらえないため,ヒューに連絡を取ってみます。そしてアレックスが何故発作を起こすのかが分かったマチルダはダンテとアレクスを追ってイタリアに飛ぶのでした。その原因のキーワードが「ジャスミン」です。二重の意味で使われるこの言葉,謎解きのようですがネタバレになるのでここまでしか書けません。イタリアで再会したダンテは数日の間にすっかり憔悴しきっていましたがそれでもハンサムさは少しも損なわれていません。遂に妻との結婚生活の破綻を告白するダンテ。これまでのダンテからは想像もできない行動でした。果たしてマチルダはダンテの心を癒やしてあげることができるのでしょうか。


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