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あの朝の別れから [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO876
あの朝の別れから The Greek Tycoon's Defiant Bride
(非情な恋人 2) 2007」
リン・グレアム 中野かれん





非情な恋人3部作の第2弾は,レオニダス・パリスと大学の非常勤講師マリベルとのロマンスです。どうもパリス君はいたずらっ子という印象が強かったのですが,本作では素晴らしく男前の真面目な男性のように描かれている印象でした。ある意味シリーズの男性陣は恋に落ちる前にごく当たり前のふざけ合いをして,女性陣から嫌われたり怖がられたりしていたみたいです。二人のロマンスで興味深いのは数年前に二人が互いにつきあいを深めていたものの,ある朝突然マリベルがいなくなってしまい,パリス君が振られたと思って恨んでいたのですが,実は朝にパリス君に朝食を食べさせようとして買い物に出たときにマリベルは交通事故に遭い,入院していたのでした。互いに不幸な出来事のせいで数年間のブランクが生じてしまったようです。でも,再開し,やはりこの人しかいないと思えるようになるということは,運命の出会いだったのでしょう。
三部作でやはり一番は「運命のチェスゲーム」のヒロインキャシーですね。あの才能,そして一生懸命な生き方,トレンテ君と結ばれて本当に良かったと思います。今年読んだ作品の中でも,ピカイチのヒロインとして印象深いです。


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熱砂の花嫁 [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO875
熱砂の花嫁 The Desert Sheikh's Captive Wife
(非情な恋人 1) 2007」
リン・グレアム 中野かれん





「誘惑のチェスゲーム」の関連で,「非情な恋人」シリーズの第1作の本作を読了しました。富豪の3人,本作のバカール王国皇太子ラシャド,「あの朝の別れから」のギリシア人実業家レオニダス・パリス,そして「誘惑の・・・」のイタリア人実業家セルジョ・トレンテのロマンスを扱っています。第1作の本作では,3人の若かりし頃,セレブたちの集うクラブで檻の中で踊っていた美しい女性ティルダにラシャドが恋をするストーリーです。父の依頼した報告書で身持ちの悪い,しかも金にしか興味のない女性と知ってしまったラシャドは,ティルダに裏切られた気持ちで別れを告げます。しかし,ティルダの側からするとそれは全くの誤解でした。クラブで踊っていたのはラシャドの親友たちの悪ふざけで仕方なく一晩だけやったこと。そして,自分の身持ちの悪さ,つまり複数の男性とのつきあいなどは全くのでっち上げであり,ラシャドの父親の依頼で家臣が皇太子の相手として外国人の女性はふさわしくないという思いを曲解してしまったための偽造書類であったこと。そして金にしか興味がないと思われたのは,ティルダの母親の再婚相手スコットが離婚後もティルダの母親からお金をせびり,ラシャドからの借金を返すことが出来なかったため。そこまで追い詰められていたティルダは意を決してイギリス滞在中のラシャドのもとを訪ね,借金の返済期限の延長を申し出るのでした。「君が僕のものになるなら考えても良い」と冷たく提案するラシャド。初めは断ったものの,母の借金の額が50万ポンドもあり,しかも返済しなければ2週間以内の立ち退きを迫られるという究極の状況の中で,ティルダはついにラシャドの申し出を受ける決意をするのでした。しかし,提案は飲んでも体を差し出すのはバカールに着いてからと,強い決意を示すのでした。豪華な自家用ジェットでバカールに到着し,入国審査を受けようとしたとき,ラシャドはティルダは「自分の女だからビザはいらない」と管理官に告げてしまいます。そしてラシャドの祖父の時代に王族が自分の女といった瞬間に結婚したことになるという法律がまだ生きていたのでした。愛人としてバカールに入国したつもりのティルダでしたが,知らないうちにラシャドの妻に昇格してしまっていたのでした。皇太子の結婚を祝う祝砲で驚いた二人が事情を知ったのは王宮に着いてからでした。愛人としてさげすまれると思っていたティルダは妻に昇格したことでラシャドと対等に話し合うことが出来ると考えます。そして,ティルダの過去を記載した偽造報告書をティルダが目にしたのは,ラシャドとの熱い一夜を過ごした後でした。自分を信じず,こんな偽造報告書を信じたラシャドに立腹したティルダは,すかさずイギリスに帰国します。その後を追ってきたラシャド。そしてラシャドはティルダに謝罪し,愛を告白するのでした。その後ラシャドの力で母の治療と元夫の脅迫から逃れることの出来たティルダは安心してラシャドに身を任せることが出来るようになるのです。それにしても突然皇太子夫人になったティルダが,すぐに国民にも国王にも好かれ,結婚式前からすっかり人気者になってしまうところが,ちょっとご都合主義かなと思いますが,ラシャドの人を見抜く力がそれだけあったというとらえ方も出来るかなと思います。また,ラシャドの友人たち,レオニダスとセルジョが二人の関係にもちょくちょく顔を出し,絡んでくるのが,シリーズの醍醐味かもしれません。


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誘惑のチェスゲーム [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO871
誘惑のチェスゲーム The Italian Billionaire's Pregnant Bride
(非情な恋人 3) 」
リン・グレアム 中野かれん





リスト整理でちょっと気になった作品です。名手リン・グレアムの作品ということもありますが,ヒロインが,昼はウエイトレス,夜は清掃人という苦労して生活している女性であることと,チェスの腕前に優れている頭の良さそうな人物であること,そして何となく小柄だが美しい容貌を持つ人であるような感じがしたからです。ヒロイン,キャシー・ガルビン,身長はわかりませんが,その他は大体想像通りでした。イタリア人実業家セルジョ・トレンテのオフィスの清掃を担当していたキャシーは,「手を触れないでください」と注意書きされたチェスの盤面を毎晩少しずつ駒を動かすという誘惑に駆られてしまいます。養父から教わったチェスの腕前。夜間たった一人で静まったオフィスで黙々と清掃作業を行う彼女にとって,やや気晴らしには丁度良い行動だったからです。翌日警備担当者からチェスの駒が動かされていると報告を受けたセルジョは,ふとその「手」が見事な手であることに気づきます。そして誰がやっているかに興味を持ちます。警備担当者にとっては監視カメラで調べるか,一晩中見張っているかのどちらかしか犯人を突き止めることは出来ません。何日か後にたまたま監視カメラに犯人の姿が映ります。そしてそれが清掃員の格好をしたキャシーであることも。セルジョは一清掃員がなぜそんな見事な「手」で駒を進めているか気になり,友人たちがおもしろがって誰かを派遣しているのではないかと考えますが・・・。
キャシーは以前務めていたお屋敷で窃盗の容疑を掛けられ,2年間の服役生活を送らざるを得ない経験を持っていました。しかも貧しい自分が誰にも助けてもらえず,雇い主の言い分を全面的に認められ,無実の罪をかぶって服役し,服役中怪我をさせられて背中を始めあちらこちらに傷を残されたという苦い経験から,自立し,人を信用しないようにと生きてきました。自分の生活を立て直し自分の生活を守るため,法律を勉強したいという強い意志を持つようになったのです。しかし,セルジョに犯人扱いされ,セルジョに惹かれながらもその気持ちを隠していくようになるとは思いもしませんでした。セルジョもまた,変わった手段で自分の財産を狙っていると思われる女性に自分が惹かれていくとは思いもしませんでした。セルジョのツンデレぶりが本書の魅力でもあります。そんな二人が,互いを信頼しあうまでのストーリーが展開されます。キャシーの魅力が満載で,本の中の女性でありながら思わず目の前にいるかのような存在感のある人物造型は,さすがグレアムといわせる作品です。シリーズ最終作を先に読んでしまいましたが,セルジョの友人二人とその妻たちも登場し,第1作,第2作への興味がわきます。


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ギリシア式愛の闘争 [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO870
ギリシア式愛の闘争 Christakis's Rebellious Wife
(大富豪の飽くなき愛 2) 2014」
リン・グレアム 春野きよこ





「大富豪の飽くなき愛」シリーズの第2作目です。なんとも不品行このうえない富豪,ガエターノ・ラヴェッリが残した,3人の妻と一人の愛人。その間に8人の子供たち。本作のヒーローはその2番目の男子でヘレナ・クリスタキスの息子ニコロス・クリスタキス,愛称ニックです。母とガエターノの間に生まれたニックですが,母ヘレナは自分と同じ時期にクリストの母とも付き合っていたガエターノを憎み,妊娠したため,ニックが生まれてからは息子を愛することなく,しかも虐待を繰り返していたのでした。ガエターノとヘレナの結婚はイギリスでは法的に認められなかったため,ヘレナの財産はガエターノに渡ることがなく,ニックは祖父の事業を受け継いで成長して富豪となっていたのでした。クリストとニックがあるレストランで昼食を取っていたとき,そこのウエイトレスをしていたベッツィを見かけ,ニックは一目ぼれをします。レストランの支配人はニックがレストランの向かいのビルのオーナーであり大富豪であることから,君のような一介のウエイトレスが相手にされるはずがないとベッツィに注意をするほど,二人の共通点はなかったのです。しかしニックは日頃付き合っている美女たちとは全く異なるベッツィの美しさ,愛らしさに魅力を感じ,周囲に隠すことなくベッツィに誘いの言葉を掛けるのでした。ニックの異母兄クリストとベッツィの関係をクリストの妻ベルは一時疑ったことがあるほど,ベッツィの魅力は女性から見ても明らかだったのです。しかし,ベッツィには失読症という病気があり,文字を十分に読むことが出来ませんでした。しかし頭が悪いわけではなく,商売の才能や店の経営の才能は他をぬきんでており,結婚後始めたショップも次第に大きくしてきたのです。幼少の傷を未だに抱え,感情を表に出さないようにしているニック。失読症を恥じ自分には魅力がないと思っているベッツィ。二人の間には惹かれ合うもの,体の相性の良さはあっても,少しずつすれ違いが生じていきます。そして,ベッツィが子供が欲しいと言いだしたときに二人の意見は真っ向から対立し,ついには離婚調停が始まってしまったのです。ベルと仲の良いベッツィはベルやクリストにニックとのことを相談し,ベルは完全にベッツィの味方になっていました。互いに傷つけ合う言葉を言い合う二人ですが,体の相性はとてもよく,求められればニックを拒むことの出来ないベッツィ,しかしニックには若いときに子供を作れなくする手術をしていたのです。そのため,ベッツィの要求には応えられない,しかしそのことを説明したくはない,という葛藤の中で離婚調停が進行していくのでした。家を追い出されてからニックは回復手術を受け,ベッツィのもとを訪れて結婚生活をやり直せないかと考えます。ベッツィもニックと離れて寂しい思いをしていたため,二人は燃え上がります。そしてあるはずのないベッツィの妊娠。しかも双子の胎児がいることがわかり,結婚生活を見直すことを決意した二人でした。しかし,一度失敗しかけていた結婚生活をやり直すには,子供が出来ることだけではなく二人の生活自体を見直す必要があるということを,ベッツィは繰り返しニックに説明するのですが,一度目の失敗は自分のせいではないと思っていたニックにとってベッツィの要求を理解することはなかなか大変です。しかし,可能な限り努力しようとするニックの姿にベッツィの気持ちは揺らぎます。憎んではいるけれど愛することはやめられない。愛憎は紙一重というベッツィの気持ちを,幼少の頃からの自分の気持ちを閉じ込めることを自分に課してきたニックにとっては,理解することは難しいことでした。しかし少しずつ近づいていく二人の気持ち。ベルの誕生パーティで,クリストと大げんかしたニックはついに,幼少の頃の自分の生い立ちや母から受けた虐待のことをベッツィに打ち明けるのでした。
ベッツィの気持ちを思いやれないニックの行動に読者はやきもきさせられますが,二人が試練を乗り越えて近づいて行く心の遍歴が手に取るように見え,心理ドラマを見ているようなストーリー性の強い作品になっています。


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愛妾の娘 [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO849
愛妾の娘 Ravelli's Defiant Bride
(大富豪の飽くなき愛 1) 2014」
リン・グレアム 霜月 桂





「大富豪の飽くなき愛」シリーズの第1作です。なんとも不品行このうえない富豪,ガエターノ・ラヴェッリが残した,3人の妻と一人の愛人。その間に8人の子供たち。最初の妻との子クリスト・ラヴェッリは,父ガエターノ死後,イギリスの片田舎に愛人と5人の子供がいたことを知らされます。それぞれ母の違う二人の弟の他に,これだけの子供がいるなんて,しかも一番下の弟はまだよちよち歩きの幼児だというではありませんか。遺産の整理のためにアイルランドに飛ぶクリスト。アイルランドのガエターノの館の家政婦だった愛人メアリ-・ブロフィーがすでに亡くなっていたことを知らないクリストは,ピンクの派手な服を着て厚化粧をした女性に相応の暮らしに困らないだけのお金と引き替えに,スキャンダルになるマスコミとの接触を避けて欲しいと頼みにいったのでした。しかし,彼女は実はメアリーと先夫との娘ベルだったのです。異父弟妹と,自分の祖母アイザが暮らしに困らないように弟妹たちをラヴェッリの家族として迎え入れて欲しいというのがベルの願いでした。そしてメアリーが亡くなっていることを隠し,自分が身代わりとしてクリストに会いにいったのでした。しかしなんとも年齢的にもあり得ないと思ったクリストは,反面ベルの隠された美しさに惹かれてしまうのでした。離婚した父と母のもとで愛情亡く育てられたクリストは,家族を大切にしようとする気持ちや家族を,伴侶を愛するということがどんなことなのかを知らずに育ったのです。ベルの正体はすぐにバレてしまうものの,自分のことよりも弟妹を大切にしようとしているベルの気持ちに何とか応えようとクリストが出した結論は,ベルとの結婚でした。ベルとその家族にとっても,ベルに肉体的に惹かれている自分にとっても損のない取り引きとしてベルに提案したのでした。自分たちの住んでいる館の門付近の家政婦用建物が,母に残された遺産だと思っていたベルはその建物も法的には母の死とともにラヴェッリ家に返されてしまうことを知ったベルは,その提案を受け入れざるを得ませんでしたが,同時にどうしてもクリストの男性としての魅力に惹かれてしまうことに戸惑い,あっという間に迎えた結婚式でも,母の形見だったウエディング・ドレスを着ることで仕返しをするぐらいしか思いつかなかったのです。幼い末の弟フランコだけを連れて新婚旅行でイタリアに向かったクリストとベル。めくるめくようなクリストとの一夜ですっかり惹かれていくベルでしたが,クリストの意中に自分以外の,義妹のベッツィの存在がいることを知り,すっかり落胆してしまうのです。そして自分がクリストを心から愛してしまっていることに気づくのでした。初めは愛人の娘として,ベルとの肉体的な結びつきしか求めていなかったクリストですが,仕事の関係でベルに予想外の能力があることを知り,弁護士にこの結婚が思いがけない成功だったことを明かすクリストでした。それなのにベッツィとの関係を知られた後,ベルが急に自分を避けるようになったことに戸惑います。何でも正直に打ち明け合うことが便宜的な結婚から本当に結婚に発展していくという共通理解を得た後だけだったため,ベルの態度の急変を理解することが出来なかったからです。しかし,ベッツィとのことで誤解があったことがわかり,クリストもまたベルを心から愛していること,つまりこれからも人を愛することができるのだということに気づかされたのでした。
クリストには義弟ニック,そしてもう一人砂漠の国の王ザリフがいます。この三人がヒーローになり,シリーズを進めていきます。妻と5人の弟妹,そして妻の祖母を家族に迎え入れたクリストの幸せな家庭生活,そして自分の母と義父も含めて,エピローグでは次世代の娘の誕生が予告されています。


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愛を試された公爵 [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO808
愛を試された公爵 The Spanish Billionaire's Pregnant Wife
(三人の無垢な花嫁 3) 2009」
リン・グレアム 漆原 麗





ミニシリーズ「三人の無垢な花嫁」の最終巻。本作のヒーローはスペインの公爵レアンドロ・カレーラ・マルケス。銀行家として生活していて,複数の国に家を持つ大富豪です。ヒロインはモリー・チャップマン。オフィーリア,ニコライの妹にあたり,三人がやっと連絡を取り合うのは物語終盤です。レアンドロは妻を失って一年,母親からはそろそろ再婚しては,という話が出てき始めました。姉や妹からも公爵家の跡取りが必要ではないかと言われてしまいます。一方モリーはパーティ出張サービス会社のウエイトレスとしてアルバイトをしながら,焼き物を作り,将来陶芸家として独り立ちしたいと考えています。自分が婚外子として父亡き後祖母から姉は自分が引き取るが,お前にはこの家にいる場所がないと言われて養子に出されてから,独り立ちするためにがんばってきたのです。友人のジェズの家に間借りしなんとか生活を維持してきました。ロンドン郊外の大邸宅での結婚披露パーティでモリーとレアンドロは出逢います。酔っ払いに絡まれたモリーを助けようと前に出たレアンドロは殴られて倒れ,一瞬気を失います。自分を守ろうとしてくれたレアンドロに感謝の気持ちを持ったモリーは,彼を意識し初め,その日のうちに片付けを終えたモリーを待ち受けていたレアンドロを自分の車に乗せて家まで送るという展開の速さ。そしてその日のうちに互いの魅力の虜になってしまいます。そしてモリーの妊娠。レアンドロとモリーは互いに惹かれ合う気持ちを抑えきれず,ついに結婚ということになります。公爵家に嫁ぐという重圧,しかも義母の反対と意地悪,告げ口を言いたくないというモリーのプライドから,夫にはそのことを告げられない苦しさ。妹ジュリエットが付き合いだした管財人フェルナンドが妙に自分に親切にしてくれることを夫に疑われ,ジュリエットの誕生パーティに黙って出かけたモリーが泥酔してフェルナンドに介抱される様子をパパラッチに撮られてしまうという展開で,ついに二人の間に亀裂が表面化してしまいます。少し前に連絡が取れた姉オフィーリアと兄ニコラスからイギリスに帰ってこないかと誘いを受けていたこともあり,ついにニコラスに迎えに来て欲しいと連絡するモリー。ヘリコプターで迎えに来たニコラスに冷ややかな目を向ける義母。そしてもりーとの関係修復を願うレアンドロが帰宅するとすでにモリーはいなくなっていました。フェルナンドとの関係を疑っていたレアンドロは素直にモリーに連絡を取ることもせず二人の破局は決定的になっていきます。
どのようにシリーズの結末をつけていくのかと思いましたが,この後,意外な展開があり,レアンドロ,モリーの二人の気持ちが再燃し・・・。そして,エピローグで数年後のことが語られるというパターンはロマンス小説の常套ですが,それはそれで,ホッとできる展開であります。「愛を試された・・・」このタイトルの意味が終盤でなるほどと思わせるしゃれた作品です。


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甘美な愛人契約 [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO807
甘美な愛人契約 The Ruthless Magnate's Virgin Mistress
(三人の無垢な花嫁 2) 2008」
リン・グレアム 漆原 麗





シリーズ2作目ですが,前作と関係するのは,前作のヒロイン,オフィーリアと本作のヒーローが異母兄妹になるという点だけで,あまりシリーズ性は感じられません。独立した作品と言ってもいいぐらいです。
本作のヒーロー,ニコライ・ダニーロヴィッチ・アーロフはロシアの大富豪。祖父から受け継いだ財産を自らの才覚で確実に拡張し,独身大富豪として女性からの注目を一身に集めているヒーローらしいヒーローです。しかし,父の不品行で不遇な少年時代,そして貧しい里親の元での苦しみなどを経験し,愛を信じない人間に成長してしまっています。一方ヒロインのアビーは,兄のドリューと家事代行業を営み,そこそこの成功を収めていますが,最近会社の経営状況が悪くなっているという噂が聞こえてきています。兄嫁キャロラインは下半身不随で車椅子の生活を送らざるを得なくなっていますが,明るく何でも自分でやり遂げようとする頑張り屋でもあります。しかもキャロラインはアビーの亡夫の妹でもあるのです。仕事でファッションモデルの代行を頼まれたアビー。その場にニコライと三人の美人秘書,そして二人のボディーガードがどっしりとステージ向こう正面に座っています。熱い視線を向けられるアビーですが,ニコライの女性に対する扱いがたびたび新聞で報道されているのを知っていたため,あえてその視線をそらそうとします。案の定,ショーの後でニコライはアビーにアクションをかけてきます。こんな風にして始まった二人の関係ですが,ニコライを無視したり,ことごとくその誘いをはねつけようとするアビーに,ニコライは逆に惹かれていきます。ニコライから見てアビーは完璧なプロポーションと頭の良さを兼ね備えた素晴らしい女性に思えるのですが,アビーは夫が亡くなった後も結婚指輪をはめたままなのでした。人妻には手を出さないという主義のニコライですが,アビーの夫がすでに亡くなっていることを知り,アビーにイギリスでの拠点を見つける仕事を依頼し,ニコライのペントハウスに住むように条件をつけて破格の給料を払うと申し出るのでした。会社の経営がうまくいかなくなっていることを兄に告げられたアビーは仕方なくその条件を呑むことにします。それよりも,アビーがニコライを避けようとしたのは,アビーもニコライにかなり惹かれてしまったからでした。大富豪のみができる豪華なプレゼントや行事への参加,パパラッチたちからの執拗な取材など,これまで経験したことのない出来事にアビーは戸惑いながらも,誰にも知られていないニコライの過去の秘密を徐々に打ち明けられ,冷徹な実業家というイメージとは異なる,ニコライの素の姿に次第に興味を覚え,愛するようになっていくのでした。そんなとき現れたのがオフィーリアです。ニコライとの契約期間が切れようとしていた時期だっただけに,アビーはニコライが次のお相手を見つけたのかと思い込み,パーティの途中で兄の怪我を知らせるキャロラインからの電話を受けた後,病院に駆けつけ,そのまま自分のアパートに帰ってしまうのでした。もはやニコライとの関係をやめなければと思っていたアビーの家の呼び鈴がなります。
このあとエンディングとエピローグに向かって急展開をしていくのですが,読者の予想を裏切らないハッピーエンドに胸をなで下ろします。次作では行方不明のオフィーリアの妹モリーがいよいよ登場するのでしょうか。


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裏切りのハネムーン [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO804
裏切りのハネムーン The Greek Tycoon's Disobeidient Bride
(三人の無垢な花嫁 1) 2008」
リン・グレアム 漆原 麗





母親同士が一人の男性を取り合い,深い因縁をもったオフィーリアとリサンダー。その二人を祖母の遺言は結婚という形で結びつけた。庭の植物の世話とわがままな祖母の世話から青春を過ごすことのなかったオフィーリア。そして貧しい少年時代を過ごした後,メタクシス家の養子となり,努力の末事業を拡大して富豪となったリサンダー。オフィーリアの住むマドリガル邸は荒れるに任せられていたが,祖母は決してメタクシス家には売ろうとしなかった。それは,オフィーリアの母が結婚式の当日にリサンダーの養父に捨てられた過去があったからだった。養子であることは世間には知られていない。そして養母のヴァージニアが癌を患っている今,なんとしても急いでマドリガル邸を手に入れ,母を養生させてやりたい気持ちで,リサンダーは遺言どおりオフィーリアに結婚しようと持ちかける。世界中の美女と浮き名を流し,どんな美女とでも2週間以上は交際が続かないという噂のリサンダーとの結婚など,オフィーリアにはとても耐えがたいことだった。しかし,経済的な行き詰まり,そして行方のわからない妹を探したいという切実な気持ちと,リサンダーに世話をしている庭のある土地に鍵をかけられてしまったことで,仕方なく結婚を承諾する。
二人は便宜的な結婚をしたのですが,実はマドリガル邸で遺言を聞くために出逢った二人は直感的に互いに好意を抱いていたにもかかわらず,周りの状況がそれを許すようなものではなかったため,互いに自分の気持ちを押し殺さざるを得なかったのです。そして,他の女性とは違うオフィーリアの行動をことごとく曲解してとらえてしまうリサンダーと,その言葉にさらに逆上してしまうオフィーリアとの間には,もう修復不可能ではないかと思わせるような隔たりが感じられてしまうのでした。それでも互いに肉体的に強く惹かれ合う気持ちから,キスからはじまり,結婚後は普通の夫婦のような関係を持つことになるのです。オフィーリアにときどき口答えされて,思わず強がった発言をしてしまうリサンダーの慌てぶりには,思わずニヤリとさせられます。その関係が続く限り二人は決して別れないだろうなと予想できます。何度かオフィーリアがリサンダーの元から逃げようとしますが,そのつど自ら説得に向かうリサンダーの誠実さも好ましいですし,二人の誤解が少しずつ解けていくストーリーもとても気持ちよく,暖かい気持ちにさせてくれます。互いに愛し合っていることをいつ二人が正直に打ち明け合うのか。そんな二人を読者は温かく見守ってあげたくなるような気持ちにさせられる作品です。


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シンデレラの純潔 [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO768
シンデレラの純潔 The Dimitrakos Proposition 2013」
リン・グレアム 霜月 桂





 ハーレクイン・ロマンス3000号の記念号となった本書。作者リン・グレアムのメッセージ付きです。ストーリーテラーの名手リン・グレアム作と翻訳の名手,霜月桂さんの名コンビによる出版で,納得できる作品でした。
 「ギリシア大富豪からの突然の求婚。その企みを、彼女はまだ知らなかった。」と作品案内にあるように,親友の出産した産後間もない幼児を育てるために,後見人に指名されていたギリシア人富豪の会社に押しかけたタビー。育児のために事業も手放し,半地下の貸部屋を知人から借り受けて生活せざるを得なくなったタビーは,福祉局からの訪問に対応するため仕方なしにアケロン(アッシュ)・ディミトラコスの元を訪れたのでした。このときアッシュは父の遺言「1年以内に結婚しないと会社の持ち株の半分は後妻とその家族に渡す」ということへの対応を迫られ,不機嫌な状態でした。そこに,目立たない服装のみすぼらしい女性がしつこく「後見人」と騒いでいるのですから,余計に腹が立ったのです。二人の困難を解決する方法として弁護士が示したのが二人の偽装結婚でした。初めは互いにぶつかり合っていた二人ですが,互いが利用し合っているということで我慢をせざるを得なかった二人ですが,心の中では二人は互いに惹かれ合っていたのです。やせっぽちで女性的魅力に欠けていると思い込んでいたタビーは,愛する親友の娘アンバーと離れることができずにアッシュの男性としての魅力に惹かれながらも体目当てに近づこうとするアッシュを手厳しく拒絶するのです。これまで女性に拒絶されたことのないアッシュにはこれが逆に新鮮に映ります。二人の結婚式のためのウエディングドレスを送ろうとしても,それすら断ろうとするタビー。根気強く説得するアッシュ。そんなやりとりが読者をしっかり物語に引き込みます。特別許可証によって早々に結婚式を挙げる二人ですが,式に参列するためにやってきたアッシュの父の後妻一家の存在がタビーに不安を与えます。義理の妹に当たるカスマが,本来は自分とアッシュが結婚するはずだったと騒いだのです。父の遺言はアッシュとカスマの結婚を前提にしていたことが後に語られるのですが,このカスマの存在があとあとの事件の伏線となっています。新婚旅行をかねて出かけたギリシアの島の別荘。その鏡に書かれた脅迫文は,幸いタビーの眼に触れることはないのですが,タビーが階段を踏みはずそうとなったことをきっかけに,サルディニア島に移るのですが,そこでも鏡への悪戯書き。それをタビーは目にしてしまいます。そんなミステリーめいたプロットと,二人の関係が次第に,そして急激に偽装結婚から本当の結婚へと変化していく部分は見事に描かれています。互いの不幸だった幼少時代と親から見捨てられた身の上,それにもかかわらず明るく前向きに生きようとするタビーの姿についにアッシュは自分の心の奥の闇を乗り越え,タビーを本当の意味で愛するようになります。この部分は読者の感動を高めます。
終末ではハッピーエンドになる4年後の姿が描かれますが,愛情深いタビーが4年後にもアッシュにメロメロであることは簡単に予想がつき,安心できる結末です。ロマン小説らしい要素がたっぷりの本書。おすすめの1作です。


タグ:ロマンス
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億万長者の大誤算(4姉妹の華燭の典 4) [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO735
億万長者の大誤算 Challenging Dante (4姉妹の華燭の典 4) 2013」
リン・グレアム 相原ひろみ





いよいよシリーズ最終巻。末妹のトパーズ(トプシー)はある貴族夫人の個人秘書として務めている。24歳にして数学の博士号を持つトプシー。上の姉たちはそれぞれ独特の美しさと上背の高さという点で共通しているものの,トプシーだけは小柄でどちらかというと頭脳で勝負するタイプ。IQの高さでは天才肌という設定。イタリア・トスカーナ地方の城とよばれる豪邸に暮らす伯爵夫人の一人息子ダンテは銀行家として有数の富豪だが,母が突然結婚し,その相手と母の個人秘書との間に,不適当な関係があるのではとほのめかされ,実家に帰ってくる。傲慢で自分を鼻から疑ってかかるダンテに対して,反発を感じながらも身体的魅力に惹かれてしまうトプシー。継父との関係を疑いながらも,日頃の自分の好みの女性像から全くかけ離れたトプシーに対して不思議と魅力を感じてしまうダンテ。二人の関係は時に近づき,時に離れ,複雑な状況の下で進行していきます。決定的だったのは城で開かれた仮面舞踏会。すでに関係を深めていた二人だが,ダンテの相手をしたのはモデルとして有名だった女性。何も将来の約束をしたわけではないのに,嫉妬にさいなまれ,ダンテに何も告げずに湖水地方に帰ってしまうトプシー。そして,4姉妹の母が逮捕されるという事件が起こり・・・。
トスカーナ地方に個人秘書の職を求めて行ったのは,トプシーの実の父親が夫人の相手ではないかという情報があったからだった。しかし,事実が明らかになってしまえば,自分を雇ってくれた夫人に迷惑がかかるのではないかという迷いがトプシーにはあった。姉たちやその夫達はそんなトプシーの相手としてダンテを不適切だと思い,姉妹達が集まったところを訪ねてきたダンテとの間に一悶着起こる。サフィーのフラットを借りたダンテとトプシーはそこで,これまで言えないでいた互いの秘密を明かし合い,互いの気持ちが真剣であることを確認し合う。エピローグでは,シリーズのふさわしい大団円が描かれる。それにしても生活のために汲々としていたキャットのBアンドBをロシア人富豪が訪れるという偶然から始まったシリーズで4人の姉妹達が,石油王,国王,コンピュータ開発者,大銀行家とそれぞれ富裕な相手を見つけ,さらには子だからにも恵まれ,大家族になっていくこのゴージャスなシリーズは,読者に夢を与えてくれる一大絵巻となっていて,読後の満足感に浸れるすばらしいシリーズとなっている。


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