SSブログ

街角のシンデレラ [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO1205
街角のシンデレラ The Italian's Wife
( Mediterrranean Marriage 2 ) 2001」
リン・グレアム 萩原ちさと




HQB-722
16.04/¥670/200p

R-1834
03.01/¥672/156p


 原題は「イタリア人の妻」
 ヒロイン:ホリー・サンソム(20歳)/シングルマザー,ティミーの母/赤茶色のふさふさした巻き毛,純粋無垢な外見,160センチ/エクスムアの農場育ち
 ヒーロー:サヴェリオ(リオ)・ロンバルディ(29歳)/イタリアの旧家ロンバルディ家の長でロンバルディ産業を指揮する実業家/185センチ,金色の瞳
 「地中海の結婚」シリーズの第2弾で,ヒーローはイタリア人の富豪リオです。婚約者と気まずい別れをした後,帰宅途中でリムジンの前に飛びだしてきたのはベビーカーを押して道に倒れかかった若い女性でした。婚約者のクリスタベルはリオのフラットで別の女性と抱き合っていたのです。まさか自分の男性的魅力を否定されるとは思ってもみなかったリオにとっては衝撃の出来事でした。しかしそれより衝撃的だったのは,みすぼらしい格好でどうみても17-18歳ぐらいの子供づれの女の子だったのです。その女性ホリーは恋人のジェフに騙されてシングルマザーとなり,捨てられて生活に困窮した状態だったのです。とっさに自分の子供ティミーを守ろうと車の前に倒れ込んでしまったのでした。自分の経営する病院に運び込んで医師の診察を受けさせると,栄養失調になっていることが分かります。そして,警察にも福祉事務所にも連絡しないでくれと懇願するホリー。どちらにせよティミーが自分から取り上げられてしまうと恐れていたからでした。退院後自分の屋敷にホリーとティミーを連れていったリオ。とにかく数日はホリーの身体の回復を待つことにするのですが・・・。もうこの時点で母から結婚をせっつかれていたリオにとって,クリスタベルとの別れを決意し,その代わりとしてホリーを利用したいという気持ちがあったことは否めませんでしたが,それより純粋無垢なホリーの境遇やその隠された美しさに惹かれていく自分にも気付いていなかったのでした。それからは,ホリーとの結婚が有効な解決策と考え,着々と準備するリオ。そして思いがけない出来事の連続に驚きつつ,初めに出会ったときからリオの男性的魅力に惹かれてしまったホリーは信じられない思いで葛藤します。ティミーの子供部屋,ナニー,福祉事務所の係員に二人が結婚するつもりだと話すリオ,そして2週間後には結婚式を挙げていたのでした。そしてハネムーンに。何でも準備してくれ,ずっと一緒にいてくれるリオに心身共に頼るようになり,幸せにあふれていたホリーが目覚めたときにリオにかかってきた一本の電話が二人の別れのきっかけになるとは・・・。それは仕事上の電話でしたが,リオはアメリカへの出張を余儀なくされ,ホリーは一人でリオの母の元に顔を見せに行かざるを得ませんでした。しかしリオの母アリスからは財産目当ての結婚ではないかと冷たい言葉をかけられ,しかもそこにはリオの元婚約者クリスタベルも泊まっていたではありませんか。ありったけの勇気を振り絞って,リオが選んだのは自分だと言い切ったホリーですが,すでにすっかりリオとの結婚生活には自信を失っていたのでした。リオの帰宅を待ってクリスタベルとのことを聞き出そうとするホリーですが,いいようにあしらわれてしまいます。そして付き合い上どうしても出かけなければならなくなったパーティで,ホリーはクリスタベルとふたたび出会い,さらにリオがクリスタベルを連れてパーティを抜け出していく場面を見てしまいます。もう自分は元恋人と同じように今度も捨てられてしまうと観念したホリーはティミーを連れて実家に戻っていきます。
 思わぬ幸運でシンデレラ生活を送っていたホリーがリオとの結婚後,愛にたどり着くまでのあれこれを描いた作品です。15年前の作品ですがホリーの心の成長をも巧みに描いた読後感の素晴らしい良作です。


タグ:ロマンス
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

メイドが愛した億万長者 [キャロル・マリネッリ]

SHALOCKMEMO1204
メイドが愛した億万長者 Sicilian's Shock Proposal
( Playboy's of Sicily 2 ) 2015」
キャロル・マリネッリ 井上絵里





 原題は「シチリア人の衝撃的求婚」
 舞台:ロンドン,シチリア島ボルド・デル・チエーロ(天国の縁)
 ヒロイン:ソフィー・デュランテ/ローマのフィシェラ・ホテルのメイド/長い黒髪,濃い茶色の瞳
 ヒーロー:ルカ・カヴァリエーレ/実業家/ネイビーブルーの目
 裕福な資産家で町全体を支配していると言ってもいいほど財力と権力を持つ父マルヴォリオの一人息子のルカ・カヴァリエーレですが,父親が妖しげな事業にかかわったり,あまりにも自分が支配的に町の人たちや息子に当たることを嫌い,自力で事業を興して成功しています。少女のころからそのルカに憧れ,親同士が婚約を決めた相手の娘ソフィーは,18歳のころには,美しい女性に成長しています。しかしロンドンで事業を成功させたルカにはソフィーとの結婚は親の言いなりになることを意味していました。そのためソフィーがロンドンの自分のオフィスを訪ねてきたとき,ルカはソフィーに婚約解消を申し出るつもりでいたのです。ソフィーにはクルーズ船で働いてみたいという夢がありましたが,今はしがないホテルのメイドをしています。「僕はロンドンで暮らしている。僕が付き合う相手はモデルや洗練された美女ばかりだ。親が結婚を決めた田舎娘に出番はない」という言葉をルカが父親に話しているのを聴いてしまったソフィー。ルカがそう言うのは,ルカが島を離れるときにソフィーに一緒にロンドンに行こうと誘ったにもかかわらず,ソフィーはついてこなかったことで,裏切られたという気持ちをソフィーに対して抱き続けてきたからでした。しかし当時まだソフィーは少女であり,親の庇護の元を離れることには躊躇する気持ちがあったのでした。その後ルカのロンドンの居場所がつかめず,ローマ市内の狭いフラットに友人のベラと住みながらメイド生活を続けていたのですが,刑務所に収監中の父の先が長くないことを知り,父の希望であるルカとの結婚を心待ちにしている様子を見かねてロンドンを訪れたのでした。しかし,ソフィーの父が収監されることになったシチリア島での放火事件の裁判で,カヴァリエーレ家の雇った弁護士は親子が無罪になり,ソフィーの父の単独犯であるかのように裁判を誘導し,結局父だけが罪を得て43年の刑を受けたことで,ソフィーはルカとその父を恨み続ける気持ちも抱き続けています。家同士の確執,そして再開した瞬間から互いに惹かれる気持ちを抱き合う二人の,まさしくロミオとジュリエット風なねじれた愛の行方はどうなるのか,それが本作の読みどころです。先の長くない父の夢を叶えてあげたいソフィーはルカに婚約が継続中であることを見せたいとルカに頼み込むのですが・・・。
 前作の「涙のエンゲージリング(SHALOCKMEMO1179)」でも,結婚に結びつくまでの二人の長い旅路が描かれますが,本作でも紆余曲折が続き,しかも数年前の事件の真相が次第に明らかになっていくというロマサス的要素も加わり,ちょっと複雑な内容になっています。それにしても,本作の魅力はなんといっても激情的で誇り高いシチリア娘ソフィーの人物造型でしょう。「わたしは気が強くて癇癪持ちだけれど,愛する人から別れを告げられたらその言葉には素直に従う」と宣言するだけのことはあり,なかなか一筋縄ではいかない女性です。そして「あなたもお父さんに似ているけれど,あなたはお父さんとは全く違う人だわ。あなたは傲慢で頭が切れる」とルカを評していることからして,以外とこの二人の相性は互いを補いつつ,ソフィーの父が評したようにベストカップルなのかもしれません。
 ハーレクイン・ロマンスも,この4月刊から表紙や体裁が変わり,これまでの黄色からイマージュの色だった白が基調の,上品にあしらわれた装丁になっています。素敵な装丁ですね。


タグ:ロマンス
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。