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私にはあなただけ [サラ・モーガン]

SHALOCKMEMO1315
私にはあなただけ The Spanish Consultant
(三つの愛の詩 1) 2004」
サラ・モーガン 高浜真奈美




HQB-750
16.08/¥670/224p

I-1762
05.07/¥672/164p


 原題は「スペイン人の顧問医」
 ヒロイン:キャサリン(ケイティ)・ウエスタリング(29歳)/医師/元モデル/ブロンド,青い瞳,180センチ,美しいハート形の顔/
 ヒーロー:ジェイゴ・ロドリゲス(35歳)/顧問医/元銀行員/黒曜石のような黒い瞳,190センチ/
 ウエスタリング家の三つ子,アレックス,ケイティ,リビーを主人公にしたミニシリーズの第1巻です。このシリーズはすでにHQセレクトで再版されていますが初訳は2005年7月から三ヶ月連続でHQイマージュで出ています。冷酷な銀行家チャールズ・ウエスタリングを父に持つ医療関係の3つ子たち。父の仕事を誰も引き継がないことで父に反抗に姿勢を示していますが,3人の中でもっとも心優しいケイティがまずヒロインとして登場します。この後「華麗なる誘惑」で次女のリビーが,そして3作目で長男アレックスが主人公となります。三つ子と父との対決はすでに本作の終末で和解の時を迎えますので,この後緊張感はどうなるのかわかりませんが,少なくとも本作ではウエスタリング家にふさわしくないと11年前に切り捨てられたジェイゴ・ロドリゲスが,我が儘お嬢様だったケイティと再会して意地悪を繰り返し,次第にその医師としての実力とかつて自分がケイティの元を去ったことは間違いだったと気付かされ,なんとかケイティの気持ちを取り戻そうと努力する様子がストーリーの中心となります。スペイン人独特のセクシーさに昔も今もすっかりメロメロになってしまうケイティの純真で一途な性格も愛らしく,またすがすがしさを感じさせ,イマージュらしい医療ものとしての詳細も巧みに取り入れられた好著になっています。和解の時も準備され,次作への期待が高まる終結です。


タグ:イマージュ
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炎と燃えた夏 [ミランダ・リー]

SHALOCKMEMO1314
炎と燃えた夏 The Millionaire's Mistress
( Passion 3 ) 1998」
ミランダ・リー 小長光弘美




HQB-749
16.08/¥670/224p

I-1277
99.09/¥641/156p


 原題は「富豪の愛人」
 ヒロイン:ジャスティン(ジャシー)・モンゴメリ(21歳)/大学生/褐色が駆った長いブロンド,青く輝く瞳,笑いのこぼれる魅力的な口元/
 ヒーロー:マーカス・オズボーン(30代半ば)/銀行頭取/ハンサム,彫りの深い顔,官能的な唇,黒い瞳/
 「没落した富裕な家庭の我が儘娘の自立の物語」
 「君が部屋を歩けば,周囲にさっと温もりが広がる。一気に明るくなる。君には人の心を引きつける魅力的なオーラが備わっているんだ。君は生命そのものだ」とマーカス・オズボーンに言わしめたヒロイン,ジャスティンの成長譚です。不適切な取引条件で融資を行っていた部下職員をクビにし,代わりに融資交渉に当たった銀行頭取のマーカスですが,自ら交渉に臨もうとしたのは,交渉相手を別のパーティで見たとたん愛人にしたいと思ったからでした。妻から手ひどく裏切られ,もう結婚はこりごりだと思って仕事一筋に生きていたマーカスですが,たった一年でジャスティンに惹かれてしまうとは,なんと節操のない男性でしょうか。それにしてもゴージャスで明るいジャスティンの非常識な融資申込にOKを出さざるを得なくなるほど妄想が広がってしまったのですから仕方ありません。大学1年をもう三年も続けているジャスティン。これまではちょっと自分の魅力を振りまくと男性が何でも言うことを聞いてくれるようになっていた経験から,本当に自分のキャリアを作り上げていかなければならないと考え直すきっかけになったのは父の死でした。しかも50万ドルもの借金を抱え,ひたすら悲運を嘆いてばかりいるお嬢様育ちの母の面倒を見ながら,自分が生活をなんとかしなければという思いがその決意を促したのです。ところが,友人といえばいつも男性のことしか頭にない自称美女のトゥルーディだけ。これがまた,いつもジャスティンに余計な知恵を付けてしまうのですから,ジャスティンもかわいそうです。しかし,時に友人のアドバイスを自分の意志で断り,結えなく自分に大金を投じようとしているマーカスに,仕事をした分だけ給与を払ってくれればいい,ただそのチャンスだけは欲しいと言い切るかっこよさに,ジャスティンの決意のほどがうかがえます。愛人として生きた方が楽なはずですが,あえて厳しい道を歩こうとするジャスティンに,マーカスはこれまでのジャスティンへの見方を見直さざるを得なくなるのです。「急がば回れ」とはこのことを指す言葉なのでしょうね。そして自分を身売りすることなく,マーカスへの愛を貫いていく生き方も,そしてオーストラリア独特の自然火災で家を失ったショックにも負けないたくましさを発揮していく姿にも読者は感動を覚えます。その熱い生き方には一回り以上の年齢差などは何の障害にはなりません。まさしくシリーズタイトルの「Passion」にふさわしいヒロイン,ジャスティンの物語です。
 タイトルの「炎と燃えた」は恋心だけでなく,家までも・・・。


タグ:イマージュ
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ひと夏のシンデレラ [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO1313
ひと夏のシンデレラ The Frenchman's Love-Child
(異国の王子さま 1 ) 2003」
リン・グレアム 藤村華奈美




HQB-746
16.08/¥670/208p

R-1979
04.07/¥672/156p


 原題は「フランス人の愛息子」
 ヒロイン:タビサ(タビー)・バーンサイド(21歳)/細密画家/キャラメルブロンドの髪,緑色の瞳,古風な砂時計の形にも似た体つき,えくぼ,鼻は大きめ,口も少々大きい,背が低く優雅とは言えない/
 ヒーロー:クリスチャン・ラロッシュ(29歳)/航空会社社長/黒髪,ブロンズ色の顔,黒い瞳/
 すでにハーレクイン・プレゼンツで再販されてい「異国の王子さま」シリーズの第1巻です。第2巻の「ナポリから来た恋人」ではピッパが,第3巻「誰も知らない結婚(SHALOCKMEMO83)」でヒラリーがヒロインを務めますが,本作のヒロインタビーの友人としても登場します。本作をきっかけにシリーズ全体を読み直してみたい気持ちもありますが・・・。さて,「異国の」の第1巻はフランス人王子さまクリスチャンです。王子さまといっても本物の王族ではなく物語の王子さまという意味で,いわゆる大富豪のことです。ヒロインがもともと裕福な家の出自ですからシンデレラストーリーというわけでもありませんが,結婚するなら自分だけを愛してくれる王子様・・・という女の子らしい夢をさしているシリーズ名です。さて,いくつかの一族が交流していた昔,タビーの父が妻を亡くした悲しみで泥酔した状態で車を飛ばし,タビーの友人の親たちの乗った車に衝突してしまい自身を含め,何人かが命を失ったあの事故。以来,当時高校生だったタビーは家を失い,名誉も失い,友人も失ってしまったタビーですが,今回クリスチャンの住むフランスのラロッシュ家の大伯母ソランジュが亡くなり,タビーに遺産としてラロッシュ家の領地デュベルネの隅にあるコテージを残してくれたのです。領地を大切にし,こだわりを持つフランス人からしてみれば,かつての事故の敵バーンサイド家娘が自分たちの領地の片隅にでも財産をもつことは,忌まわしい出来事を思い出させるだけでなく名誉にもかかわることだったのです。なんとかこのコテージをタビーから買い取るために使わされたのがクリスチャンでした。「私の夫を殺した男の娘にご褒美を与えるなんて!」「夫の死から四年近く経った今も,マティルド・ラロッシュはパリのアパートメントで喪に服している」というクリスチャンの母の思いを復讐という形でクリスチャンはタビーに迫ろうとしていたのでした。4年前,クリスチャンに憧れ,年齢を偽って身を投げ出したタビーが,たまたま知り合ったバイク乗りの男性にさよならのキスをされているところをクリスチャンに見られてしまい,去られてしまった当時の事情をタビーは知らず,クリスチャンに捨てられ,父の事故の責任を問う裁判でも無視されたことから,妊娠,出産という事情を打ち明けられないまま叔母のアリソン・デイビスに引き取られ,息子ジェイクの子育てをしながら美大に通い,画家としてのキャリアをスタートさせたばかりのところでした。当時クリスチャンの大伯母ソランジュ・ルーセルは「あなたとクリスチャンの間に家族が立ちふさがってしまったのね。あってはならないことなのに」とラロッシュ家で唯一タビーに同情を寄せてくれていたのですが,それが今回の遺産という形になったようです。しかしそれは表面的なことで,ソランジュ大伯母にはさらに深い深慮遠謀があったことに二人が気付くのは物語の終盤になります。叔母のアリソンと恋人が話をしているのを偶然聞いてしまったタビーは自分とジェイクが叔母の元に留まるのを恋人が邪魔に思っていることを知ったタビーはこの遺産を受け取る決心をし,住むための準備をするために単身フランスに渡るのでした。そこにクリスチャンがやって来ます。憎い敵の娘と思いながら,再びタビーに会ってその魅力に抗えなくなってしまうクリスチャン。自分を憎んでいることを知りながらクリスチャンに触れられると逆らえなくなってしまうタビー。二人の間の引力は4年経った今でも強烈に存在していたのです。そしてジェイクの存在をクリスチャンに知られることに・・・。一目見て我が子だと確信したクリスチャンは知らせてくれなかったタビーを強烈に責めまくります。しかし審理裁判の時自分の話を聞いてくれるように頼んだのにもかかわらず自分を無視したのは誰だと反論するタビー。そしてあっという間にジェイクの歓心を買ってしまったクリスチャンにも腹を立てつつ,その魅力に我を忘れてしまうタビーの悲しい運命に読者の関心は引きつけられます。果たして4年前の真実はどのように明かされるのでしょうか。
 裕福な銀行家の娘ベロニクとクリスチャンは幼なじみであり,事業に成功したクリスチャンは仕事上の付き合いに便利だとベロニクとの結婚を考え,婚約していましたが,タビーとの再会を機にこの婚約を解消します。表面的にはこの婚約解消を承諾したベロニクですが,クリスチャンを諦める気は元々なかったのです。ラロッシュ家の敵の娘であるタビーにいずれクリスチャンは飽きるだろうと,4年前から実はなにかと裏でタビーにクリスチャンとの別れを画策していたのです。このベロニクの腹黒さに気付いていたソランジュ大伯母でした。そして婚約していたことをタビーに知らせていなかったクリスチャンは,ベロニクがこのことをタビーに告げて腹いせをしたことにも気付いていなかったのです。しかし逆にこのベロニクの画策が真実をクリスチャンに気付かせるきっかけになるとは,さすがの腹黒女も自分で首を絞める結果になってしまうのです。読者にしてみればこのことがカタルシスの解消に大いに役立ちます。まさに策士策におぼれるという次第。終盤に互いの誤解が解け,ソランジュの計画は大成功に終わります。天性の楽天的で繊細なタビーの性格が,本作の魅力を最も盛り上げてくれる秀作です。


タグ:ロマンス
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9カ月目の赤い糸 [マリー・フェラレーラ]

SHALOCKMEMO1312
9カ月目の赤い糸 Do You Take This Child ?
( Baby of the Month Club 5 ) 1996」
マリー・フェラレーラ 庭植奈穂子





 原題は「あなたがこの子を取るの?」
 ヒロイン:シーラ・ポラック(30代?)/ハリス記念病院産婦人科医/長身でほっそり,ブロンドの髪,大きくて春の矢車草のように青い目/
 ヒーロー:スレイド・ギャレット(33歳)/新聞社特派員/身長185センチ,茶色の目,ダークブラウンの髪/
 マリー・フェラレーラと言えば「ボディガード」や「闇の使徒たち」といったロマサスの作家というイメージが強くありましたが,本作のようにイマージュの作品もあるんですね。1996年作品ですから20年前の作品になりますが,その生き生きした筆力は,その後のスピード感あふれる作品をうかがわせるに十分な表現力だと思います。さて,本作は両親とも医師で自らも産婦人科医のシーラが,出会ったばかりのスレイドとプライベートビーチで一夜の時を過ごし,妊娠し,再開後二人の関係が再燃していくというOne Night Babyものの物語です。一方ヒーローのスレイドは戦闘中の危険な場所にも飛び込んでいく命知らずの特派員ですが,いわゆるロマサス的な雰囲気のヒーローではなく,仕事として戦地には行くものの,その記す記事は思いやりにあふれたヒューマンなものであるようです。そこが医師のもののイマージュの中にロマサス的設定を取り入れた作者の工夫だと言えるでしょう。両親が仕事一辺倒で自分が面倒を見られたことのない自立した医師のヒロインに対し,妊娠が分かってからのスレイドのシーラべったりの働きぶりには思わずニンマリさせられますし,日頃妊産婦たちを診察しているヒロインが,自分の子供のこととなると医師としての判断力を失いあたふたしてしまうところが実に微笑ましく,とても温かな気持ちをかき立てられる作品です。今の暑い時期ではなく,冬の寒い時期に読むと心がホンワカしてくるような作品ではないでしょうか。


タグ:イマージュ
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花嫁の告白 [フィリス・ホールドーソン]

SHALOCKMEMO1311
花嫁の告白 Father in the Middle
( Fabulous Fathers 13 ) 1994」
フィリス・ホールドーソン 小原まみ




K-402
16.05/¥670/156p

L-693
96.02/¥610/156p


 原題は「父親真っ最中」
 ヒロイン:タマラ・ヒューストン(24歳)/小学校教師/身長150センチ,ブラウンの瞳/
 ヒーロー:クレイトン(クレイ)・ラトレッジ(30代後半)/口腔外科医/金色が買った茶色の瞳,黒髪/
 17歳で市長の息子の子を妊娠してしまったタマラ。出産後両親から見放されて娘を養子に出されてしまい,その後大学で学び,今は小学校教師を職業としているタマラ。24歳になり,その後出産した子供がどうしているかが気に掛かり,探偵事務所に所在の確認を依頼します。「今になって急に生みの親が現れ,子供を返せなどと言われたら,ほんと許せませんよ」という探偵の言葉に必死の思いを伝えるタマラの「取り返そうなんて気はありません。人目だけ娘を見ることが出来,大切に育てられているかが分かれば,それでいいんです。」という切ない言葉が探偵の胸を打ち,ひたすら連絡を待ち続けます。自分自身が遅く両親から生まれ(母41歳,父46歳の時),銀行頭取の父,教会秘書の母からすれば,未婚の母になることなど当時世間体が悪いとしか思えなかったのです。結局高校2年を未婚者用の施設で送り,高校3年の時に復学し,大学に入学したのでした。両親とはその時以来会っておらず,時々連絡を取る程度。完全に自立して生活を送ってきました。しかし自分の産んだ娘の現在がどうしても気に掛かり,8日目にあった連絡を元に,娘の両親の住む家を密かに探し当てたのでした。アイオワ州エームズからサンアントニア市に住む口腔外科医クレイトン・ラトレッジ,建築家アリシア・ラトレッジ夫妻というのが娘を引き取った養父母でした。娘の私立学校に見学と称して訪問して顔を合わせたり,飛び込みで養父クレイトンの病院に治療に行ったりといろいろ挑戦しているうちに養母が1年前に亡くなり,娘メアリー・フランセス(フランシー)の住み込みナニー兼家政婦を短期で捜していることを突き止めます。思わずタマラはこの募集に挑戦してみる気になってしまいます。実際に会ってみて,探偵に言った「見るだけでいい」という約束を破ることになってしまいますが,もう自分の気持ちを抑えることは出来ませんでした。そして亡き妻を愛しており他の女性を愛する気はないというクレイの言葉に傷つきながらも,タマラは一目会ったときからクレイを愛するようになってしまうのでした。クレイもまた一緒に住み始めたタマラに対してかつての妻とは違った意味で惹かれてしまいます。その純真に子供に接し方や小柄ながら女性らしい体型,そして率直に話しをする態度に好ましさ以上の気持ちを抱きつつも,その気持ちが妻を裏切ることになりはしまいかという罪悪感を抱き,何度かタマラに解雇通告しようとするのですが,その都度うまくいかない事情が出てしまいます。そしてクレイは両親の家にタマラを連れて行き,家族に紹介すると,兄から独身の若い女性との同居に懸念を告げられ,反論してしまいます。やがて,タマラとの間に心の交流が避けがたいものになり,プロポーズするのでした。短期間の交際期間,そしてフランシーがタマラに絶対の信頼を寄せていることから,幸せな3人での生活が始まります。この生活を根本的に破壊する一本の電話があるとも知らずに・・・。それはクレイの弁護士からでした。フランシーの実母が探偵を雇って娘の居所を探し出し,タマラが出産した施設の非常勤職員が金を受け取って情報を漏らしたというものでした。実母の名前がタマラ・ヒューストンだと聞いたとき,クレイの中に裏切られたという強い怒りの気持ちが抑えられなくなります。帰宅した夫の突然の感情的な言葉に驚いたタマラは,ついに秘密を知られてしまったことに愕然とします。その後家を飛びだして帰宅しなかったクレイに,気持ちを傷つけてしまった後悔の念と,このまま家を出てしまえば,再び母を失うというフランシーのこころの傷になってしまうことを恐れ,タマラは夫との二人の関係をなんとか修復しようと決意するのですが・・・。タマラはクレイの気持ちをほぐし,幸せな結婚生活を続けていけるのでしょうか。
 なんともやりきれない切なさを残しながら,果敢に愛を貫いていくタマラの姿に読者は感動を覚えます。イチオシの作品です。


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エンジェル・スマイル [シャロン・ケンドリック]

SHALOCKMEMO1310
エンジェル・スマイル The Baby Bond
( His Baby 2 ) 1998」
シャロン・ケンドリック 久坂 翠




K-415
16.08/¥670/156p

I-1260
99.07/¥641/156p


 原題は「赤ちゃんの絆」
 ヒロイン:アンジェリカ(エンジェル)・マンデルソン(22歳)/ホテルのメイド/黒髪,エメラルドグリーンの目/
 ヒーロー:ローリ/マンデルソン(34歳)/弁護士/黒髪,青い目,長身/
 夫の浮気によって生まれた赤ちゃんを育てることになったエンジェル。この不名誉な話しをもってきたのは,夫チャドの兄ローリでした。結婚後すぐに愛人ジョアンと逃避行を続けていたチャド。エンジェルはロンドンから故国アイルランドに戻り小さなホテルのメイドとして暮らしていましたが,ローリはチャドと愛人が交通事故で二人とも亡くなり,遺児のみが残されたこと,そしてその子供を自分が引き取ることにしたとエンジェルに告げます。そして言いにくそうに,エンジェルにこの子のナニーをしてもらえないだろうかというのです。あまりにも虫のいい話ではありますが,その子を一目見たときエンジェルは瞬く間にその子に惹かれてしまうのでした。と同時に兄弟とは言え,あまりに違う堅物のローリが,何故か気になってしまいます。かつて夫と自分の結婚に反対していたと聞いていたエンジェルですが,子供に対する愛情だけは本物だと直感し,この話に承諾するのでした。そして二人とロンドンに向かう途中,道路をふさいでいる牛に車をUターンさせられてしまい,1泊することになります。そのホテルの支配人アラン・ボリヤーは後に二人にとって大切な人となるのです。さて,まだ名前のない赤ん坊に二人はふさわしい名前を考えます。ローリの親友ローカンの名前をもらうことに同意し,ローカンと名前を呼ぶことによって,エンジェルはもはや自分の息子のように赤ん坊を考え始めました。そして翌日フェリーでロンドンへ,さらにローリのアパートに着いた3人ですが,独身男性のアパートらしい無機質な内装では子供を育てるのにふさわしくないと,翌日から二人は庭付きの家を探し始め,気に入った家を見つけます。ローカンが落ち着くまで休暇を取ったローリと本物の夫婦のように暮らし始めたエンジェルですが,事実上別居生活を送ってはいたものの離婚をしていないまま未亡人となったエンジェルは義兄との結婚ということには抵抗がありました。しかし男性としてのローリには気持ちとは裏腹に体は彼を求めてしまいます。やがて二人きりの外食の後,ついに二人は結ばれます。夢中だった二人は翌日エンジェルの妊娠の可能性に思い至り,ローリはエンジェルにプロポーズするのですが,エンジェルはきっぱりとそれを断ります。事情がはっきりするまでは愛のない結婚はお断り・・・。やがて名付け親となったローカン夫妻と4人で食事をし,エンジェルはローカンを実子のように感じ,幸福感に浸るのでした。
 妊娠していないことが明らかになったエンジェルですが,ローリとの間に互いに愛が満ちていることを指摘され,ついにはともに暮らすことを承諾するのですが,ここに至る間に実は裏であのアラン・ボリヤーやアイルランドの人々がすっかり二人の橋渡しを準備していたことをエンジェルは後で知ることになります。それほど複雑な物語でもなく,たんたんと話が進んでいくのですが,ローカンという名前がアイルランド絵はとてもブレイブハートな名前であることが分かり,洗礼式でのハッピーエンドで改めてその不思議な誕生に意味を持たせていきます。読んでいる側もなにか荘厳な気持ちになるエンディングが見事な作品です。


タグ:イマージュ
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